2020 Fiscal Year Research-status Report
和食料理店における高付加価値な飲食サービス提供実現のメカニズムの解明
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20K01883
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
平本 毅 京都府立大学, 文学部, 准教授 (30469184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗田 好史 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70254323)
松原 斎樹 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特任教授 (80165860)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サービス / 価値共創 / 文脈的質問法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は調査研究の基盤であるフィールドワークとデータ収集を実施した。コロナ禍もあり計画通りにはフィールドワークを実行できなかったが、それでも6軒の京料理店で調査を実施し、貴重なデータを得ることができた。調査実施先は料理旅館、板前割烹、専門料理屋、仕出し料理屋など多岐に渡る。またデータ収集における手法の整備として、文脈的質問法(contextual inquiry)の行い方を整備した。結果、京料理屋のサービス提供における高付加価値性の源泉を探るのに適したデータの収集法を一定確立することができた。まだデータ数が十分とはいえず、体系的な分析には至っていないものの、暫定的な調査結果と調査手法の整備上の知見をまとめ、和食文化学会において研究報告を行うことができた。暫定的な調査結果とは、多くの京料理屋が、一方的に顧客に自店のサービスの価値を提供するのではなく、地域コミュニティの食のニーズと向き合いながら、顧客と頻繁にコミュニケーションを行い、また京都に住む顧客の食文化のリテラシーの高さに依存し、顧客とサービスの価値を共創していっているということである。たとえば顧客の要望を受け入れ、メニューを改訂することがよくある。また祇園祭などの京都の行事、節句などの四季折々の食文化の要素を積極的に取り入れ、顧客がそれらを読み解くことを前提に料理を提供する。つまりここでは、顧客の食文化のリテラシーの高さをあてにしたサービスの提供がなされている。これは近年のサービス理論におけるサービス中心論理の知見に符合する調査結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍もあり計画通りにはフィールドワークを実行できなかったが、その分収集したデータについての議論を重ね、分析上の視点を多々得ることができた。また京料理屋のサービス提供における高付加価値性の源泉を探るのに適したデータの収集法をについて一定の整理を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査方法の整備に基づき、引き続き京料理屋の店舗においてフィールドワークを行う。料亭や有職料理の店舗、懐石料理を提供する店舗など、さらに対象を広げて体系的な整理と分析を目指す。加えて、消費者に向けた質問紙調査の項目を定め、店舗側のみならず消費者に向けた調査も行なっていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により調査を計画通り実施できなかった。
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