2020 Fiscal Year Research-status Report
The transition of CSR accompanying the formulation of SDGs

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20K01886
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Research Institution | Takasaki University of Commerce |
Principal Investigator |
田中 敬幸 高崎商科大学, 商学部, 准教授 (30727722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 理宇 麗澤大学, 経済学部2, 助教 (20774269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SDGs / CSR / テキスト分析 / トップの声明 / 国連グローバルコンパクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、新制度派理論やステークホルダー理論などの理論を分析枠組みとして用い、国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の制定がCSR活動に与える影響について検討すべく、調査を進めている。 2020年度は、月に2回程度の研究会を実施し、先行研究の位置付け、データの収集方法、分析ツール・分析方法の検討、研究成果、進捗状況について議論を重ねてきた。 2020年度の前半では、企業の発行するCSR関連報告書のトップの声明のテキストデータを収集した。具体的には、CSRに積極的に取り組んでいる企業として、国連グローバルコンパクト(UNGC)に署名している上場企業207社(2020年3月時点)をピックアップした。その企業のCSR関連報告書(サステナビリティ報告書、統合報告書、アニュアルレポート、環境報告書等)におけるトップの声明を2012年から2019年までを収集した。 2020年度の後半では、集めたテキストデータの分析をした。まずは、SDGsが制定される直前の2014年と直近の2019年の報告書をKH Coder3を用いてテキスト分析を実施した。その結果として、SDGs制定による企業のCSRへの影響とステークホルダーへの認識の変化を示唆することができた。 CSRへの影響としては、報告書のトップの声明において、SDGsを意識した記述(課題・解決、価値・向上、貢献・成長の結びつき)が増加したことが明らかとなった。ステークホルダーへの認識の変化としては、投資家をより意識した記述になっていることから、投資家がSDGs達成に向けて企業の積極的取り組みを期待するようになった影響の可能性を示唆した。 研究成果は、モラルサイエンス研究会、日本経営倫理学会若手研究者育成研究部会で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は当初の計画では、パイロット調査的にインタビュー調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の影響により計画の変更を余儀なくされた。そこで2年目に実施する予定であったCSR報告書のテキスト分析を実施し、研究成果をまとめるに至った。 テキスト分析においては、申請段階の計画では、統合報告書を分析の対象としていた。その理由は、「統合報告書における経営者の声明は、方針転換や重要事項について言及しているため、機関投資家や評価機関も注視しているため、SDGs策定による影響が顕著に観察される可能性が高いからである」というものであった。しかしながら、先行研究を進め、調査対象について再度検討した結果として、統合報告書に限定せず、 CSR報告書、サステナビリティ報告書、環境報告書、アニュアルレポートといった企業のトップが自社のCSRについて言及しているものに対象を広げた。その理由は、SDGsが企業のCSRへの取り組みに与えた影響を検討するためには、統合報告書に限定して分析を進めるより、より強い影響を受けたであろう対象として、UNGCに署名している企業を分析する必要があったからである。 対象報告書を広げたことで、データの収集に時間がかかったものの、計画通りに分析まで実施することができた。2021年度には2020年度の研究成果を学会で発表し、その後に論文投稿を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究成果をもとに東洋経済社が提供するCSRデータベースを用いることで、大規模データによる仮説の定量的検定を行い、テキストマイニングの分析結果から得られた傾向の一般化可能性について検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、学会がリモート開催されたため、旅費として計上していた予算を使用しなかったため、次年度の使用額が生じた。 2021年度では、CSRデータベースを用いた定量的検定を実施するため、データベース購入費用を見込んでいる。データベースの購入は、2021年度の後半以降を予定している。
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Research Products
(2 results)