2021 Fiscal Year Research-status Report
The transition of CSR accompanying the formulation of SDGs

Project/Area Number |
20K01886
|
Research Institution | Takasaki University of Commerce |
Principal Investigator |
田中 敬幸 高崎商科大学, 商学部, 准教授 (30727722)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 理宇 麗澤大学, 経済学部2, 准教授 (20774269)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | SDGs / CSR / テキストマイニング / 傾注ベース理論 / CSR報告書 / ステークホルダー理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も昨年度と同様に、月に2回程度の研究会を実施し、先行研究の位置付け、データの収集方法、分析ツール・分析方法の検討、研究成果、進捗状況について議論を重ねてきた。特に研究成果をまとめることに多くの時間を割いた。 2021年の前半では、テキストデータの分析をした。そして分析を通して明らかになった研究成果についてまとめた。SDGsの策定がCSR活動にどのような影響を与えたのかを明らかにすべく、新制度派組織論を分析フレームワークとして、企業の報告書におけるトップ声明に対するテキスト分析を行った。新制度派組織論の先行研究から、SDGsは、正当性を得た社会的な規範となり、企業のCSR活動に対する制度的圧力として作用しているかについて検討を重ねた。従来は企業の自由裁量に任されていたCSR活動に対して、SDGs策定が制度的圧力として機能した結果、CSR活動の同型化が進んでいる可能性について分析した。 2021年度後半では、これまでの理論的位置づけを変更し、別の視点から研究を深めてきた。具体的には、ここまで新制度派理論やステークホルダー理論を分析枠組みとしてきたが、それらに加えて、傾注ベース理論(ABV)を先行研究として位置づけた分析を実施した。ABVからみたSDGsの影響は、CSRの文脈における外部環境の変化と捉えられる。そこでSDGsの介入効果を差の差分析(DID)によって検討した。ABVによる示唆は、2点ある。1つ目はSDGsが経営者のCSRに関する傾注に影響を与える点、 2つ目は、影響の程度が経営陣の認知によって変わる点である。分析の結果として、SDGs策定の影響として、CSRの対象であるステークホルダーへの傾注範囲を拡大すること、そして、この効果は、社外取締役構成の変化時やパフォーマンス低下時に強化されることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、2020年の研究成果を日本経営倫理学会で発表することができ、その後に投稿した論文も同学会誌に掲載された。また高崎商科大学紀要にも20年度の研究成果をまとめた論文を投稿し、掲載されている。 さらには、2021年度の研究成果についても経営哲学学会にて発表をすることができた。 以上のことから、おおむね計画通り、順調に研究が進んでいるものと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に従い、まずは、21年度の研究成果である傾注ベース理論を枠組みとして、SDGsがCSRに与える影響について検討したものを論文にまとめ、学会誌に投稿する。また、東洋経済のCSRデータを使用し、CSRに関する企業の詳細な行動を分析モデルに含め、検討を続ける。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、学会の研究発表大会がリモート開催されたため、旅費として計上していた予算を使用しなかったため、次年度の使用額が生じた。 2022年度は、対面で学会が開催されるため、旅費の使用を見込んでいる。
|
Research Products
(4 results)