2022 Fiscal Year Research-status Report
Research of the requirements for establishing open innovation in Japanese agriculture
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20K01889
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野津 喬 早稲田大学, 理工学術院(環境・エネルギー研究科・環境総合研究センター), 准教授 (90738410)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オープン・イノベーション / 農業 / 新品種開発 / スマート農業 / 産学官連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本農業のオープン・イノベーションの状況について、農業者の参画の下、研究機関や民間企業などが連携して、実際の生産現場の栽培体系の中にスマート農業技術を導入して実証を行うスマート農業実証プロジェクトを対象として分析を行った。事業データに基づく分析の結果、スマート農業実証プロジェクトにおいては作業負担の軽減や生産性の向上、特に果樹と露地野菜においてはスマート農業による労働時間削減を目指して、技術実証が行われている例が多いことを明らかにした。 さらに日本農業のオープン・イノベーションの別の枠組みとして、農林水産省が2016年に設置した官民連携協議会である「「知」の集積と活用の場」についての分析を行った。事業データに基づく分析の結果、幅広い研究領域でプラットフォームが形成されていること、他分野メンバー比率が低いプラットフォームは「異分野→農林水産」というベクトルで、他分野メンバー比率が高いプラットフォームは「農林水産→異分野」というベクトルで活動を行っている傾向があること、農林水産分野のメンバー中心のプラットフォームと他分野メンバー比率が高いプラットフォームは、農業の生産性向上という共通の目的を有している一方で、そのアプローチが異なることなどを明らかにした。 また、農業者による再生可能エネルギーの自家利用を農業者による新技術導入の一類型として捉え、再生可能エネルギー事業において大きなシェアを占める太陽光発電に着目して、複数事例を対象とするケーススタディを行った。分析の結果、農業分野における太陽光発電の自家利用を行うに当たってはコスト、需給の時間変動や季節変動が課題となること、太陽光発電の自家利用のみによって企業イメージを向上させることは難しいこと、エネルギー政策の動向が取り組みの実施に大きく影響していることなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本農業のオープン・イノベーションについて、農産物の新品種、スマート農業に加えて、当初は想定していなかった再生可能エネルギー導入についても分析を実施できている。一方、研究当初の計画では海外調査を行うこととしていたが、新型コロナの影響により国内調査を中心とする方向に変更したため、「(2)おおむね順調に進展している。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究自体は「(2)おおむね順調に進展している。」と評価しているが、論文化など研究成果のとりまとめが完了していないため、研究期間を1年間延長した。研究の最終年度である今年度は、研究成果のとりまとめに注力したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、研究成果の取りまとめが想定より遅れたため1年間の研究期間延長について承認を頂いた。繰り越した経費については研究成果の論文化に向けた学会関連の経費や書籍等消耗品の購入、資料作成及びデータ整理に関する研究補助者への謝金に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)