2021 Fiscal Year Research-status Report
雁行形態論、プロダクト・サイクル・モデルの再検討─造船産業を事例に─
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20K01892
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
加藤 寛之 法政大学, 社会学部, 教授 (10410888)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 造船産業 / 戦略 / 雁行形態論 / プロダクト・サイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
雁行形態論およびプロダクト・サイクル・モデルについて、その理論的前提の問題点を指摘し、理論的修正を試みる。雁行形態論は後発国が先発国にどのようにして追いついていくかの経路を明らかにしたモデルであり、またプロダクト・サイクル・モデルは先進国から後発国への輸出だったものが後発国が輸出国に変貌する際の経緯を明らかにしたモデルである。 両モデルともに、研究がなされた当時の国際状況を反映している。ところが、現在ではその前提が崩れかけている。現時点では先発国と後発国との間で国際分業が行われており、必ずしも両モデルが前提としたような状況にはなっておらず、また、両理論が想定しているような理論的示唆とは異なる現状となっている。 これらの状況を踏まえ、両モデルには隠れた前提があったのではないかということを指摘し、その前提を現状を踏まえて捉え直し、両モデルを再検討することを目指している。対象としては歴史の古い産業であり、日本がまだ国際競争力を持つ造船産業を主な分析対象としている。 ところが、コロナ禍ということもあり、世界有数の資料を有する海事図書館が閉架図書となり、かつ制限予約制となった。海事図書館資料へのアクセスが難しくなっており、頻繁に海事図書館に足を運び資料収集することができない状況であり、研究が想定よりも遅れている。 また、後発国が先発国に追随し、同列に並び、更に追い抜いていく過程に関する、雁行形態論およびプロダクト・サイクル・モデル以外の理論を広く収集し、先行研究として消化していきたいと考えている。 現時点では、経営史や経済史の分野での国ごとのキャッチアップに関する言及を収集している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍ということもあり、世界有数の資料を有する海事図書館が閉架図書となり、かつ制限予約制となったため、頻繁に海事図書館に足を運んで資料収集することができない状況であり、研究が想定よりも遅れている。 コロナ禍によるサプライチェーンの分断の余波を受けて海運輸送量は劇的な変動を繰り返しており、一方で海運業界はバルチックドライインデックスの変動を見てもわかるように増える傾向があり、海運が逼迫しつつあり、その影響を受けて、数年の間受注量が低迷していた造船産業に於いても受注量が増加しつつある。また受注量が低下していた時期に韓国では最大の企業と第二の企業が合併し競争力を高めている。本来であればこうした事案にも言及すべきであるが、上記のように海事図書館へのアクセスが制限されているということもあり、残念ながら思うように研究が進展していないのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、制限予約制となり、アクセスが難しくなったものの、全くアクセスできない訳ではない海事図書館に赴き、昨今の海運輸送量の回復と造船所の受注量の回復という、直近のデータをアップデートして、研究を進めていきたいと考えている。 また一方で、雁行形態論の理論的前提の詳細な検討を進め、雁行形態論がどのような歴史的背景の元でどのようなデータを元に、どのような根拠とロジックで構成されているのかを詳細に検討して明らかにしていきたいと考えている。 同様のことは、プロダクト・サイクル・モデルについても行いたいと考えており、両モデルの理論的前提の限界を明らかにし、その上で両理論を再検討していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍ということもあり、調査のための出張がなくなり、旅費が発生しなかった。また、所属している学会の全国大会もすべてオンライン開催となり、大会参加費が予定していたよりも大幅に少なかったこともあり、繰越金が生じてしまった。 今年度も事情は続いているが、資料の購入などに使用していく予定である。
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