2023 Fiscal Year Research-status Report
Education-related business of Japanese companies in Asian emerging countries: from a viewpoint of the theory on international social entrepreneur
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20K01894
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山本 崇雄 神奈川大学, 経済学部, 教授 (30318761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸志 拓殖大学, 商学部, 教授 (00287955)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教育関連ビジネス / 国際社会起業家 / 新規事業創造 / 社会的企業 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、「広義」の教育関連ビジネス(情操や健康などに関する教育も含む)に焦点をあて、いわゆる「制度のすき間(institutional void)」が存在する新興国で、どのように日本企業が参入を図ってきたのか、また参入後どのように事業構築を行っているのかについて、インテンシブな現地調査を行い、明らかにすることを企図している。 まず、上記研究課題に関する先行研究についての渉猟は、引き続き進展していると考えられる。先行研究の流れが国際ビジネス論と社会起業家論において、相違点が見られるため、双方の研究領域につき、レビューを行ってきている。また近年の研究テーマとして、ハイブリッド組織のマネジメントや、外資系企業がいかによそ者(outsidership)から仲間うち(insidership)として認知されるのか、といったテーマが密接に本研究課題と関連していることから、収集を行った。 第2に、新興国で広義の教育事業を行っている企業や組織(NGO)に対するヒアリング調査については、国内拠点を中心に実施した。その理由としては、東南アジアや南アジアの地域では、新型コロナウイルスによる教育業界への影響が甚大であり、現地調査を行っても、再スタートしたばかりの状況であったためである。しかし、新たにカンボジア、フィリピン、グアテマラの研究対象を探すことができ、国内拠点へのヒアリング調査を実行できた。海外拠点へのヒアリング調査については、補助事業機関の再延長が認められることとなったため、次年度に実施することとした。 本年度の研究実績としては、研究分担者による企業の国際経験の影響に関する学会報告(2件)が挙げられる。一般的に、国際社会起業家は、企業・組織としての国際経験が乏しいが、そうでない企業・組織も散見され、その差異がどのような影響を及ぼすのかが示唆につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題では当初3カ年の研究計画を想定していたが、1-2年目に研究代表者の在外研究中に実施する予定であったアジア新興国における企業・組織のヒアリング調査が新型コロナウイルスの影響により実行できなかった。 ようやく、2023年度に入り、新興国における教育関連事業を営む企業やNPOも、事業の再スタートを行っていることは確認できているが、小規模のソーシャルビジネスやNPOも多く、特に金銭的資源に恵まれていない企業・組織は、事業の再スタートにも相当の時間を要しているのが現状である。 したがって、そうした企業・組織の成果について分析ができるまでにはさらなる時間がかかることが明らかとなった。そのため、本年度は国内拠点へのヒアリング調査と、新規の調査対象の発掘に重点を置くこととした。具体的には、ベトナム、スリランカ、インドネシアで事業展開する企業の国内拠点へのヒアリング調査を実施した。また、フィリピンで教育の事業展開を行っているNPOの国内拠点にも研究面でのアクセスを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した理由から、研究の進捗が遅れているため、事業期間の再延長の申請を行うこととした。次年度では、教育事業を展開する企業・組織の海外拠点(フィリピン、カンボジアなど)に対して、ヒアリング調査を実施する予定である。また、継続的に調査を行ってきた企業・組織に対しても、引き続いたヒアリング調査を行う計画である。 次年度では、学会報告を行ったり、学術論文としての提出も積極的に行う予定である。また、これとは別に、書籍の一部(一章分)として、本研究課題の一環である社会的業績に関する論考と、ヒアリング先のケーススタディが刊行される予定となっている。
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Causes of Carryover |
本研究課題で実証研究の対象となっている、新興国の教育関連ビジネスを営む企業・組織が、2023年度も新型コロナウイルスの影響を大きく受けており、補助事業期間の再延長が可能とわかった時点で、海外でのヒアリング調査を延期したためである。具体的には、東南アジアへの旅費(2回分)を次年度使用額として持ち越すこととした。 この延期を行ったことによって、成果が出るまでに相応の時間がかかる教育事業につき、より詳細な調査や分析が可能となると考えている。 また、その結果として、学会発表にかかる旅費についても、次年度に持ち越すこととした。
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