2020 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な社会を真に実現するESG経営ー新たな評価フレームワークの構築と提言ー
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20K01896
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
足立 光生 同志社大学, 政策学部, 教授 (90340215)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ESG経営 / AI経営 / 企業のサステナビリティ / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
2006年にPRI(Principles for Responsible Investment、責任投資原則)が提唱されて以降、投資家の投資行動は大いに変化している。そうした投資行動の最大の変化は、投資の規範においてESGを重視するようになったことといえよう。ESGのEとは環境(Environment)、Sとは社会(Social)、そしてGとはガバナンス(Governance)を示している。投資家がESG事項を重視しながら投資先企業を選別する潮流は現在の投資の世界において根強く、企業はESG経営にシフトしている。それは企業の持続可能性を高めると同時に、持続可能な社会を後押しする期待にもつながっている。 ただし、企業経営における変化はそればかりでない。企業経営における進化は技術面からも加速化している。近年では新しいテクノロジー(AI、ブロックチェーン、IoT等)の進展とともに、企業経営に取りこまれていく機運も高まっている。特にAIについては、2006年にHinton等によってそれまでのニューラルネットを発展させる形で、深層学習(ディープラーニング)が登場した。現在では様々なビジネスの側面において、深層学習の技術は活用されていき、その方法自体もかなりのスピードで進化している。そこでAIを現場レベルで活用するだけでなく、経営判断の局面で取り入れることも現実味を帯びている。ただし、そこには持続可能な社会を実現する方向性とは逆に向かう可能性も秘めている。たとえば、AIの学習過程は通常ブラックボックスであり、反倫理的な学習結果が確かな検証のないまま、活用される恐れが考えられる。そのような場合、旧来企業が目ざしているESG経営が水泡に帰す恐れも考えられる。本研究ではこのような問題意識に関して研究を行っていった。その研究成果として、2021年3月には「持続可能な社会と企業経営 ―AI活用の視点から」という単著論文をまとめ公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年4月の研究開始からコロナ感染症拡大が急展開し、2021年5月の現時点においても感染症拡大傾向は強く、その影響は研究にも色濃く出ていることは確かである。当初研究計画のなかで予定されていた実際のヒアリング調査等は全くできない状況である。ただしそこにおいては力を抜くことなくベースとなる研究をしっかりと行うことで、本研究を持続している状況といえよう。すなわち、予期せぬ状態により研究方法は大きく見直されているが、総括していえば(2)おおむね順調に進展している、とえいよう。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、2020年4月の研究の開始とコロナ感染症拡大が展開したことから、当初の研究計画についても見直しが要されたものの、そのような影響によってたとえ少々遅れても、当初の研究計画を推進していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)欄が「0」より大きい理由については、2020年4月の研究開始からコロナ感染症拡大が急展開し、移動制限がかかってしまったため、当初研究計画のなかで予定されていた実際のヒアリング調査等ができなかったということである。またそれに伴って物品費の支出も遅れたこともある。まだ現時点においても研究者の住む地域では緊急事態宣言が出されているので多少の不安を抱えているものの、当初1年目に予定していた支出を今年度に行うとともに、今年度の支出については当初の予定通りに行いたいと考える。
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Research Products
(1 results)