2022 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な社会を真に実現するESG経営ー新たな評価フレームワークの構築と提言ー
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20K01896
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
足立 光生 同志社大学, 政策学部, 教授 (90340215)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 持続可能経営 / Society 5.0 / DX / 中小製造業 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、持続可能な社会に向けた企業の取り組みが加速化している。それに加えて、2010年代になると企業を取り巻く環境はテクノロジーの側面から急激に変化している。特に、様々なデジタル技術が急速に発展し、社会全体の基盤整備にととまらず、ビジネスの多様な領域にに実装されつつある。それらはAI、IoT、ブロックチェーンをはじめとするものであり、近年ではWeB3の台頭にも目が離せない。そのようなことから現在、大企業をはじめとしてDX(Digital transformation、デジタルトランスフォーメーション)への取り組み気運が高まっている。そしてそのような取り組み姿勢を続けているのは大企業ばかりでなく、中小企業とりわけ中小製造業も例外ではないことも確かである。本研究では中小製造業のDXへの取り組みを概観した後、そうした流れを加速化した可能性の一つとして2016年1月22日に内閣府より公表された科学技術基本計画(第5期科学技術基本計画)に着目した。この計画の趣旨は「超スマート社会」を実現するためのSociety 5.0の提唱である。本研究では第1に全産業、製造業、中小製造業の3つの区分において総資産回転率、労働生産性、労働分配率を検証した結果、Society5.0の提唱以降、中小製造業において労働生産性が有意に向上したことを示唆した。それに基づいて第2に、中小製造業を内容に応じて20分類し、Society 5.0の提唱以降の労働生産性に関するトレンド変化を分析した。第3に、因果推論の手法を使って検証した結果、Society 5.0の提唱が中小製造業の労働生産性を向上させた可能性を示唆した。このような検証結果は重要なものであると判断して、本稿の最後にはDX実装へと立ち向かう中小製造業の持続可能経営のあり方について論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究課題の遂行に向けて、本年度も少しずつではあるが着実に進展しているといえよう。当研究の申請時期(2019年)には予想もできなかった新型コロナウィルス感染症拡大が当研究期間の開始とともに始まったため、その影響が当研究にも色濃く出ていることは確かである。たとえば、新型コロナウィルス感染拡大の前に研究計画のなかで予定していた様々な調査については、世の中の新しい状況に大きく左右されることになった。ただし、そのような調査については、今後積極的に取り組みたいと考えており、その準備に余念がない。そうした点において2023年までの進捗状況を総括すれば、予期せぬ感染症拡大により研究の方法自体は大きく見直されることになったが、それでも研究目的の達成に向けては「(2)おおむね順調に進展している」といえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年4月の研究の開始とともに新型コロナウィルス感染症拡大が進展し、当初の研究計画について見直しが必要とされたものの、5月8日にその取扱いが2類から5類に変更されたことから当初提出した研究計画に一層邁進したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)欄が「0」より大きかった事については、当年度において幾分新型コロナウィルスの感染症拡大が緩和されてきたものの、やはりまだ平常状態とはいえず、積極的にヒアリング調査等を行ったり、研究成果の発表のための出張を推進したりすることができなかった点が挙げられる。また、そのような状況から、それらに関わる物品費の支出も遅れたことにある。5月8日に感染症の取り扱いが2類から5類にかわることもあり、2020年度から2022年までの遅れていた動きを取り戻して適切な研究費の執行に取り組んでいきたい。
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