2021 Fiscal Year Research-status Report
顧客の行動履歴情報活用能力における情報倫理の戦略的意義の解明
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20K01899
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
古賀 広志 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20258312)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 顧客情報 / ソーシャルメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、顧客情報の活用から、顧客と企業の共創(対話を通じた新たな情報(製品の意味)の創造」が重要であるとして、業界誌『宣伝会議』に原稿を寄せることができた。そこでは、顧客のネット上の閲覧や検索などの行動履歴〔場合によれば、GPSデータを利用した移動情報や利用しているアプリなどの登録情報)を用いて、広告を打つべき適切なタイミングを絞りこむというアプローチは、顧客を「標的」とみなし、かつてENIACなどが意図した「弾道計算」のようなデータ活用であることを指摘した。しかし、DXやソサエティ5.0が指摘される現在では、ネット広告を契機とする顧客同士の対話を促し、そこから広告を媒介とした新しい価値を創造するようなアプローチが必要であると指摘した。このような考え方は、かつて石原武政氏が提唱した「競争的使用価値」を「顧客インタラクションを通じた競争的使用価値」に拡張したものである。また、経営組織論の鼻祖であるバーナードの「顧客もまた組織の構成員である」を援用して、組織構成員としての顧客の役割を再検討したものでもある。ひとまず、このラフスケッチに過ぎないモデルを「顧客共創モデル」と呼ぶことにしたい。 もう1つは、文献研究を中心に、地域や個人の「センシティブな情報」に注目するダークツーリズムの視点を援用した研究方法論について、一連の報告を行った(ただし、これらの報告は企業を主体とする情報活用の側面に注目しつつも、報告の場となった地域デザイン学会の趣旨に引き寄せて地域の企業・行政・非営利組織などに拡張されて議論された)。これら一連の報告では、上述の「顧客共創モデル」を地域企業や地方自治体、NPOを含めた地域住民の活動グループなどが対話を通じて新たな価値を創造する過程を「ZTC三角モデル」として提唱し、その意義を「デザイン・サイエンス」や「エフェクチュエーション」との関連から多面的に議論してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際会議が延期になったことなどで海外出張用に計上していた予算執行が遅れている。2022年6月末にフィンランドで開催される国際会議(ethicomp2022)での報告が採択されたので、その渡航費などに繰り越すこととした。ただし、昨今のウクライナ情勢の影響で航空経路の変更、フィンランド便の減便などがなされており、渡航そのものが難しいかもしれない。現時点では、日本からのオンライン参加も検討している。その場合、予算計画に大きな変更が余儀なくされるであろう。とはいえ、最終報告としての論文を執筆する上での文献資料購入や国内出張などを重ねていき、研究の遅延を取り戻していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年6月末にフィンランドで開催される国際会議(ethicomp)での報告が採択されたので、国際会議での報告を中心に今年度は研究を進めていきたい。また、国内の学会での報告を中心に、文献レビューと前年度にラフスケッチとして描かれた「顧客共創モデル」の意義を中心に国内の学会で精力的に報告していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの(COVID-19)の影響で、国際会議などがキャンセルとなったために、予算執行に変更が生じた。次年度は、国内外の調査・研究報告を精力的に展開していきたい。
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Research Products
(20 results)