2023 Fiscal Year Research-status Report
顧客の行動履歴情報活用能力における情報倫理の戦略的意義の解明
Project/Area Number |
20K01899
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
古賀 広志 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20258312)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ソーシャルメディア / 情報倫理 / Webマーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月にタイで開催された国際会議(MISNC)において,個人のプライバシー意識に関するWeb調査結果の概要を報告することができた.同報告では,(1)SNS等Web上の情報発信における自他のプライバシー配慮において,「匿名と実名を使い分ける」者が最も配慮の意識が高く,「匿名のみの利用」は他者のプライバシーに対しては「配慮なし」選択率が高くなること,(2)自己情報統制権については,(a)若年層は「削除」の選択率が低い,(b)高齢層は「削除」と「利用制限」の選択率が高い,(c)壮年層は平均的であること,(3)情報発信におけるプライバシー配慮に限定されるけれども,プライバシーに「配慮しない」人が「個人情報の保有期限の制限」の選択率が高く,自己情報統制について関心を抱いていること,(4)データ社会に対する「利便性向上などの期待」と「情報漏洩やプライバシー侵害などのリスクや不安」のどちらを強く感じているかを問うと,(a)男性が「期待」,女性が「不安」を選択する傾向があること,(b)「期待」する人は,4大SNSを実目と匿名を使い分けて利用しており,自己情報統制については「確認」と「修正」を望んでいること,(c)「不安」をおぼえる人は,SNSを「利用してない」傾向があり,自己情報統制権としては「削除」,「保有期間の制限」,「第三者提供の制限」を重視していること.(d)「不安」を覚える人は,「情報銀行」に対しても委託しても良い情報内容を「趣味」あるいは「なし」と回答する比率が高いことなどを明らかにした. この結果から,自己情報統制について,消費者がプライバシーと個人情報を区別して捉えていることが窺える.つまり,「秘匿すべき内容ではないが,いつまでも保存して欲しくない」という感覚が「プライバシー」とは異なる「個人情報」を考えるヒントになると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で実施が遅延したアンケート調査結果の分析などが少し遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
Webを利用した質問票調査の結果を整理し,内外の学会にて報告する予定である. MISNC2024での報告(インドネシア開催),およびAPCIM2024(韓国開催)での報告(外国出張)に120万円,英文校閲費に40万円,国内の学会出張に20万円を支出する予定である.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で研究活動が遅延したために,海外出張などの予算執行ができなかったため.
|