2022 Fiscal Year Research-status Report
Multilevel analysis of collaborations among varied professionals in university research management
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20K01907
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 伸 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任准教授 (90520883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 俊也 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (00334350)
高橋 真木子 金沢工業大学, イノベーションマネジメント研究科, 教授 (70376680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大学研究マネジメント / 専門職 / 組織行動 / 協業 / リサーチ・アドミニストレーター / 研究支援 / 大学発ベンチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学における研究マネジメントについて「専門職連携モデル」を構築し、検証することで、専門職の連携・協働行動が実現する要因とその行動が個人と組織の業績に与える影響を明らかにすることを目的にしている。 3年目である2022年度は文献調査や内外動向調査に加え、インターネットによる質問票調査、文部科学省データを活用した大学における実践的支援活動と大学発ベンチャー創出の分析、国際調査データを利用した大学研究マネジメント専門職の業務経験年数についての分析を中心に実施した。 質問票調査はインターネット調査専門会社に依頼し、同社の登録モニターに対して実施した。業務として研究の支援活動に従事する個人を対象とし、500人を超える回答を得た。質問票は、組織市民行動や知識共有行動といった協調・連携行動の程度を把握する項目や職務特性を把握する項目で構成した。 大学の支援活動と大学発ベンチャー創出の分析では、文科省データを活用し、過去5年間の大学発ベンチャー創出数を目的変数、起業を目指す研究者や学生への支援活動や学内支援体制・戦略に関する質問項目を説明変数として回帰分析を実施した。その結果、相談窓口の設置とインキュベーション施設の保有について正の有意な関係が確認された。大学発ベンチャーの創出や支援を意識した知的財産の活用を含む戦略も有意に関係した。結果は2022年の日本知財学会第20回年次学術研究発表会で発表した。 さらに大学の研究マネジメント専門職に対する国際調査のデータ(RAAAP2)を利用し、業務経験年数と、業務に関する個人の認知やスキル向上、専門資格に対する評価という要因との関係を検証した。国際調査データを用いることで国や地域の差異を織り込んだ分析になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学研究マネジメント専門職に関する文献は増加しており、国内では能力認定制度も創設された。こうした潮流を踏まえ、多様な文献や資料を収集、検討、整理した。さらに国際調査のデータ(RAAAP2)と文部科学省データをそれぞれ分析し、仮説とした関係を検証できた。国際調査の対象は個人、文部科学省データの対象は大学等の組織と、レベルが異なる単位から分析を実施した。研究成果もオンライン開催された日本知財学会学術年次大会で発表ができた。こうした活動から研究マネジメント専門職であるURA(リサーチ・アドミニストレーター)に関して新聞取材を受けることも生じ、研究成果の一部を社会へ発信した。補助事業期間の終了を2022年度から2023年度に延長したが、補助事業の目的をより精緻に達成するためであり、2023年度は追加的な分析の実施や学会参加、論文投稿など研究成果の発表を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
国際調査のデータ(RAAAP2)の特性分析および独自の質問票調査によるデータ収集は実施済みであり、最終年度である2023年度には最新の学術動向を把握しつつ、追加的な分析と研究成果の取りまとめを推進する。特に国内学会では対面開催が復活しつつあり、複数の学会大会に参加し、成果発表と他の研究者との討議を進める。 専門職連携という概念は、医療や看護、介護等の分野で学術的、実践的に活用されてきた。大学研究マネジメント専門職も、異なるスキルやキャリアを有する集団を含むものの、それぞれの専門性には医師や看護師、介護士ほどの明確な区別はない。専門性を構成する知識、スキル、実務経験の組み合わせが顕著に多様で、国内の実情は渾然一体にみえる。人材集団全体として業務の境界線も曖昧である。こうした点を踏まえた上で、大学における研究マネジメントの専門職が協力・連携に向かいやすい条件を探求し、「専門職連携モデル」を構築する。
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Causes of Carryover |
過年度に新型コロナウイルスの感染拡大のため、情報収集のために計画していた海外出張を見送った。結果として旅費の使用額が計画額を大きく下回った。次年度には追加的な分析と研究成果の取りまとめを進めるため、使用額は学会等の旅費・参加費用等に充当する。
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Research Products
(5 results)