2022 Fiscal Year Research-status Report
Ba theory for the foundation of an organization and community
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20K01918
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
露木 恵美子 中央大学, 戦略経営研究科, 教授 (10409534)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 場 / 現象学 / コミュニティ / 組織改革 / 組織文化 / 地域創生 / 桜えび漁 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
場の理論の構築における応用研究に関して以下の研究を実施した。 1.地域における場の創造と活性化 2012年より継続的に調査している静岡市清水区由比町における桜えび漁業に関する調査を継続した。桜えび漁は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きくうけ、2020年度から2021年度にかけて、出漁が限られ、漁獲量も低迷したが、2021年ごろから継続している禁漁区の設定により、2022年秋漁から駿河湾奥に魚影が見られるようになった。禁漁や漁獲制限については、漁師と仲買の対話がなされるように関係改善がみられた。 2.組織文化変革に関する調査 2022年度は、新規の調査対象として、名古屋大学発ベンチャーのオプティマインド社の組織づくり(スタートアップ企業における組織文化づくり)、ならびに、東京海上グループのイーデザイン損保の組織文化改革について、インタビュー調査を実施した。オプティマインド社は、組織の急拡大において組織内にコンフリクトが多発したが、組織文化を意識した施策を行ったことで、成長フェーズにありながらも、オプティマインド社らしさが生まれてきている。イーデザイン損保は異質異能を取り込みつつ、新しい商品(&e)をめぐって、さまざまな部署が意見を交換せざるを得ない状況を生みだし、結果的に横串が通されつつある。 3.研究成果の普及・啓発活動 場と共創の理論の普及のために、『共に生きることの意味を問い直す』の出版(白桃書房、2022年6月)を行った。それに合わせて、8月のキックオフセミナーを皮ぎりに、毎月1回ずつテーマを定めてのオンライン講演会を行い、研究成果の普及・啓発に努めた。また、HPの改修も定期的に行い、最新の情報発信に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年から2022年にかけて、新型コロナウイルスのまん延および2022年2月に起こったロシアのウクライナ侵攻によって、現地に赴いての海外現地調査ができなくなった。ついては、2020年当初に考えていた海外調査の進捗が全般的に遅れている。海外調査に関しては、現地メールやズームでのやりとりをしつつ、2023年4月末から5月に現地に赴いて、海外調査研究について練り直す予定である(4月24日~5月19日、ウィーン、ケンブリッジ(イギリス)、アムステルダム等を訪問予定)。 一方で、国内調査は2022年度は、駿河湾の桜えび漁における地域コミュニティの変容の研究に関して、2月に1回程度の訪問調査を行い、現地の状況を把握することができた。また、現地調査ができなくなった一方で、これまでの研究成果の公開に力を入れ、2022年度は、6月に『共に働くことの意味を問い直す-職場の現象学入門』の出版、またそれに伴って本書の啓発として月に1回のオンラインないし対面での講演会を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
場の理論の構築における応用研究に関して以下の研究を実施する。 1.地域における場の創造と活性化 2012年より継続的に調査している静岡市清水区由比町における桜えび漁業に関する調査を継続する。桜えび漁は、2023年度春漁は資源管理の成果が出て、漁獲量が例年より増えている。例年、月に1回程度行っている現地調査について継続する。 2.組織文化変革に関する調査 2022年度は、東京海上の子会社であるイーデザイン損保ならびに名古屋大学発ベンチャーのオプティマインド社に、組織文化づくり、組織文化変革に関する調査を実施した。今年度はこの事例を継続すると同時に、新規組織文化づくりや変革を進めている企業(大企業、スタートアップ)に調査対象を拡大する。海外(欧州)調査も実施する予定である。 3.研究成果の普及・啓発活動 1と2の研究については、研究会や講演会などを対面とオンラインで行う、研究成果の英語での出版等の準備を進めることで、研究成果の普及・啓発活動を推進する。 4.海外での調査研究の再開 海外については、以下の3つの地域における研究をスタート(再スタート)させる予定である。(1)ウィーン経済大学の研究者と共同研究(場と創造性)を再開する予定である。(2)イギリスケンブリッジのチャーチルカレッジの研究者と「場・創造性・イノベーション」に関する研究をスタートする予定である。また、アムステルダムの研究者と「場のワークショップ」を行い、「場と認知的正当性」に関する研究を加速させる予定である。
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Causes of Carryover |
2020年からの新型コロナウイルスの世界的まん延と2022年に勃発したロシアのウクライナ侵攻によって、海外現地調査が実施できなくなった。そのため期間を1年間延長して、あらたに海外現地調査の実施ならびに国際共同研究の実施に関して、現地に赴いて実施する予定である。 海外現地訪問については、2023年4月24日~5月19日の予定で、オーストリア(ウィーン)、イギリス(ケンブリッジ)、オランダ(アムステルダム)を訪問し、現地の研究者との交流および国際共同研究の再開・再構築や「場のワークショップ」の実施等を予定している。
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Research Products
(2 results)