2020 Fiscal Year Research-status Report
新人看護師におけるバーンアウトの影響要因とその改善要因の開発
Project/Area Number |
20K01936
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
竹田 明弘 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (90330505)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹林 明 和歌山大学, 観光学部, 教授 (20258495)
栗岡 住子 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 教授 (20736516)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 電子的コミュニケーション / ストレス / バーンアウト / 看護管理 / 制度設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、既存研究の整理、分析モデルの確定作業を行った。 NIOSH 職業性ストレス調査(Hurrell and McLaney, 1988)、ストレスの認知評価モデル(Lazarus & Folkman,1984)など、一般的なストレスモデルにおいては、ストレッサの強さや持続性が、ストレインに与える影響だけでなく、それをモデレートする要因(個人差、コーピング、ソーシャルサポートなど)の重要性を指摘している。本研究では、新人看護師においてストレス/バーンアウトの発症を抑制する要因として、このモデレート要因、とりわけ情動中心のコーピング、情緒的、情報的ソーシャルサポートに影響を与える職場内コミュニケーションに着目する。 近年では、コミュニケーション研究は、電子的コミュニケーション(Computer mediated communication:CMC)に着目したものが多い。職場内のコミュニケーションや連絡についても、民間企業ではエンタープライズ・ソーシャル・メディア(大沼、2019)、組織内ソーシャルメディア(林、2010)などクローズドソーシャルメディアが活用されている。CMCが対人関係に与える影響としては、その位置づけが大きくなるにつれ社会的属性の影響が弱まり、地位格差による発言の影響力の差が縮小する (Kiesler.et.al,1992)、CMC 重視型組織では組織内の凝集性が低下する(藤本,2006)など、組織にとっては負の側面もある。しかし、低位職者にとっては規範の抑圧からの解放に機能する(藤本,2006)。新人看護師にとって先輩、上司とのコミュニケーションストレスから解放されることにつながる。これら適切なCMCの導入運用が、同僚・先輩・上司とのコミュニケーションに伴う新人看護師のストレスの軽減に与える影響を検証する。また、CMC媒体としてfacebookを活用する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の当初計画では、既存研究の整理、分析モデルの確定とともに、本年度後期については、医療機関への調査依頼、ヒアリングを実施する予定であった。しかし、本研究の調査対象になる新人看護師が勤務する急性期病院は、COVID-19の感染拡大と対応による混乱のさ中である。このような状況で、組織管理研究への調査依頼をすることは到底できず、医療機関への調査依頼、ヒアリングを実施していない。また、本年度について、現在、調査予定医療機関が属する大阪、兵庫、名古屋地区は緊急事態宣言が出されている状況であり、現状、本計画再開の目途がたたない。また、研究代表者、共同研究者ともに、大阪・兵庫・京都を生活圏とし、オンラインミーティング以外の手段でミーティングすることも困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の影響は全研究期間に及ぶことが予想される。現在、調査対象予定医療機関が属する大阪、兵庫、名古屋は医療崩壊しているともいわれ、看護管理研究に協力いただけることが困難になる可能性がある。今後は、調査地域を変える、調査予定医療機関数を変えるなどの微調整だけでなく、インターネット調査、また介入研究から横断的調査への変更など予定を大きく変えて実施しなければいけない可能性がある。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由については、当該年度調査依頼予定の医療機関について、実現できなかったことによる出張旅費の差額、パイロットスタディができなかったことによる出張旅費および唾液アミラーゼモニター、測定用チップの購入をしなかったことによる差額である。これについては、医療機関が正常に機能し、調査依頼できるような状況になった場合において、次年度に追加して使用する。しかし、次年度についても、COVID-19感染拡大状況等の理由により、調査依頼することが困難であった場合については、インターネット調査等、代替調査費用として計上することにする。
|