2023 Fiscal Year Annual Research Report
クロスボーダーM&Aを通じたオープンイノベーションの研究
Project/Area Number |
20K01940
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
下野 由貴 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20379473)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クロスボーダーM&A / オープンイノベーション / 日本企業 / トヨタグループ / サプライチェーン / バリューチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、クロスボーダーM&Aにおけるオープンイノベーションの在り方について検討することを目的としている。具体的には、トヨタグループに属する企業(ティア1サプライヤー)を研究対象として、それらの企業がグローバル展開する際に、どのような手段やプロセスによって、オープンイノベーションを実践しているのかという課題について検討している。その手段として、自前主義によるグリーンフィールド展開や他企業の買収というクロスボーダーM&Aなどが考えられる。 最終年度は、トヨタグループに属するデンソーと豊田自動織機を対象として、グリーンフィールドやクロスボーダーM&Aによるグローバル展開のプロセスについて調査・研究を行った。デンソーは、自社のサプライチェーンをグローバル展開する際に、国や地域によって異なる手段を取っていることがあきらかとなった。欧州ではクロスボーダーM&Aを活用しているが、その他の国・地域では基本的に自前主義による展開を進めている。さらに、さまざまな国や地域に広がったサプライチェーンを統合して、来たるEV時代に備えて、各国の役割分担を変化させていることが明らかとなった。 豊田自動織機は、フォークリフトなどの産業車両事業のグローバル展開を加速させている。その際に、クロスボーダーM&Aを積極的に活用している。また、クロスボーダーM&Aを用いて、付加価値の源泉のシフトを行い、バリューチェーンを再構築している点も特徴の一つである。2017年に買収したアメリカやオランダの物流ソリューション企業を傘下に収めることによってオープンイノベーションを推進して、単に産業車両を製造・販売するだけでなく、物流ソリューションとしての価値を提供する企業へと変貌しようとしていることが明らかとなった。
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