2021 Fiscal Year Research-status Report
企業の芸術支援による組織内外の関係性構築に関する研究
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20K01946
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
薗部 靖史 東洋大学, 社会学部, 教授 (80456285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川北 眞紀子 南山大学, 経営学部, 教授 (60440806)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アートプレイス / パブリックリレーションズ / 芸術組織 / 芸術支援 / スポンサーシップ / 企業ブランド / アートイベント / ステークホルダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、企業の支援する多様な芸術が組織内外との関係性に及ぼす効果を体系的に捉えることである。Study.1(組織内部への影響)について、新型コロナウイルス感染症の流行により国際学会での発表を断念したけれども、2021年7月に日本マーケティング・サイエンス学会 東アジアの消費者行動とマーケティング戦略研究部会で報告した。また、2021年9月にはアートプレイスによってステークホルダーとの関係性を構築するメカニズムに関する総論が『企業と社会フォーラム学術誌』に掲載された。 さらに、当初2022年度に計画していた書籍の完成を目指した。2022年3月までにほぼすべての原稿を書き終え、同年夏の出版を目指して作業を進めている。これと関連して2021年9月に可児市文化創造センターala(岐阜県)、株式会社ロフトワーク(東京都)には対面で、2022年2月にサントリーにはオンラインでインタビュー調査を実施した。 Study.2(組織外部への影響)については、文献調査から導出した仮説を提起した内容を、2022年3月にInternational Public Relations Research Conference 2022(アメリカ合衆国フロリダ州)で報告する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が収束せず、対面報告しか認められなかったため、渡航を断念した。ただし、同年12月に日本広報学会第19回理論研究部会2020で口頭発表をした。また、同報告は2020年に学術誌で発表した論文を解説したものであるが、この論文が2021年10月に「2021年度 第16回日本広報学会賞(研究奨励賞)を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(2)の評価にしたのは、予定通りできなかったことと、その分当初予想していなかった進展の両方が起こったため、両者が相殺されたからである。具体的に述べると、2021年度は、Study.1「組織内での効果」に関する成果を国際学会で報告すること、Study.2「組織外での効果」に関して、文献調査、インタビュー調査を踏まえた国内学会報告を行うことを予定していた。だが、新型コロナウイルス感染症の流行により国際学会での報告などを断念せざるを得なかった。特に、2022年3月にフロリダで開催されたInternational Public Relations Research Conferences 2022はアブストラクトの審査で合格していたため、大変残念なことであった。 しかしながら、その分、当初2023年度に完成を目指していた書籍の大半の執筆を当該年度に終えることができた。これは、本研究課題のStudy.1で最大の成果として目指しているものであるため、思いもよらない進展であったと考えている。これは、研究分担者の川北眞紀子先生がメインで出版社の有斐閣と交渉を進めたことが功を奏したものであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Study.1(組織内部への影響)に関しては、2022年度中に書籍を出版することを目指したい。そのうえで余力があれば、理論や概念整理を精緻化してフレームワークを構築し、学会での報告や学術論文への投稿を行いたい。また、Study.2(組織外部への影響)に関しては、新型コロナウイルス感染症の状況次第ということもあるが、国際学会での報告を再度目指して、様々な国や立場の関係者から意見を仰ぎたい。そのうえで、同年度もしくは次年度(最終年度)に国際的な学術誌での論文掲載を目指したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた大きな理由は、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延のため、国際学会での報告、ならびに、国内でのインタビュー調査のための出張を断念したためである。これは筆者らの怠慢から発生したものではなく、不可抗力によるものであったと認識している。あくまでも、新型コロナウイルス感染症の流行と、我が国および国際学会を開催する関連諸国の事情に依存するものであるが、かりに、次年度自由に渡航することが可能になった場合、国際学会の報告を精力的に行うために使用していきたい。 本研究課題は主に日本国内の事例を中心に取り上げているけれども、筆者らが抱く問題意識が欧米をはじめとする諸外国でも共通する、すなわち、本研究の問題意識やフレームワークが世界的に受け入れられるだろうと考えている。そのため、まずは国際会議等で報告し、そこで頂いた意見を参考にして仮説を提起したい。もしも今年度中にそこまで達成きれば、さらに定量調査を設計して、調査会社に依頼してアンケート調査を実施することにも予算を充てていきたい。
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Research Products
(3 results)