2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on regional innovation networks and strategic alliances
Project/Area Number |
20K01949
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤田 誠 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00199340)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域イノベーション・ネットワーク / 戦略提携 / 資源の補完性 / リスク分散 / 定性的実証研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域イノベーション・ネットワーク形成の原因を、戦略提携論の視点から理論的かつ実証的に明らかにすることを目的とする。地域イノベーション・ネットワークとは、特定の地域に存在する企業、大学、行政機関などの経済主体が、イノベーションのために協働するネットワーク関係を意味する。本研究では、これまで蓄積されてきた地域イノベーション・ネットワークに関する諸研究を、戦略提携論の視点から理論的に再構築することで、経済主体間でなぜイノベーションのための協働的ネットワークが形成されるのかを理論的・概念的に明らかにする。またそうした理論的概念枠組構築と並行して、愛知県東部、埼玉県北部および北陸地域における地域イノベーション・ネットワークに関する定性的実証研究・聞取り調査を実施することで、帰納的に理論的概念枠組の修正・拡張を行う。 本研究は、聞取り調査という定性的実証研究により、既存研究では見逃されてきた事象や概念を発見し、それらを抽象化・理論化することを特徴としていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、聞取り調査が実施できない状況が続いた。そのため、研究方法の修正を行い、研究補助者の助力を得て、これまで手薄であった戦略提携論に関する既存研究のサーベイを系統立てて実施した。具体的には、戦略提携形成の動機、提携が持続し成果を上げる要因に分けて、経営学領域における主要学術雑誌を中心としたサーベイを行った。その結果、資源の補完性、リスク分散といった要因については実証研究の蓄積があるが、その他の要因については、体系立った知見が蓄積されていないことが判明した。また戦略提携に関する理論的パースペクティブについては、資源依存論といった伝統的なもの以外には、射程の大きなパラダイムは形成されていないことも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも記述したとおり、本研究は、聞取り調査という定性的実証研究により、既存研究では見逃されてきた事象や概念を発見し、それらを抽象化・理論化することを特徴としていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、聞取り調査が実施できない状況が続いたため、聞取り調査という帰納的方法により「新たな事実を発見する」という作業がまったくといっていいほどできなかった。この点では、当初の計画に比して、研究が遅れているといわざるをえない。しかしながら、研究実績の欄でも記したとおり、戦略提携論に関するサーベイは集中的に実施できた。この点に関していえば、計画どおりにあるいはそれ以上に進捗したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、文献サーベイに基づく理論的概念枠組みを出発点としつつ、聞取り調査という帰納的方法により、新たな現象・事実を発見しそれらを抽象化・理論化することで、既存の理論的知識体系の拡張・修正を目指す点に特徴がある。こうした特徴を生かすために、引き続き、既存研究のサーベイと聞取り調査を実施する予定である。 とくに、新型コロナウイルス感染状況を勘案しながらということにはなるが、愛知県東部、埼玉県北部および北陸地域という、従来聞取り調査の実績がある地域において、これまでの調査実績のある企業や組織を再訪し事態の推移を確認することは、時間軸にそって現象を確認するという意味で有益である。また、調査実績のある企業や組織から紹介を受けて調査対象を拡張することも、実現可能な方法である。
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