2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01955
|
Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
奥 康平 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (40549812)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | グループ経営 / 持株会社 / 企業の境界 / 経営統合 / グループ企業 / グループ戦略 / 中間組織 / 準市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の本研究では、経営学及びその周辺の学問領域における主要概念である企業の意義や意味について理論的接近を試みた。なぜなら、企業の定義や意義について、真正面から取り扱っている研究は報告者が知る限り非常に少ないからである。つまり、企業とは取り扱う者の意識の有無を問わず所与の概念であり、その定義は利益を目的とした事業体であるというものから大きく変わるものではないといえる。しかし、日本においては1990年代後半以降の税法、会社法の相次ぐ改正などもあり、企業単独での経営ではなく、一般的にはグループ企業とも呼ばれる関連子会社をも含めた企業グループを1つの企業のようにとらえて経営を実施する「グループ経営」が日常的にみられる経営形態となっている。すなわち、企業の定義や範囲が拡大しているということができる。 これらの視点について、2021年9月4日開催の日本経営学会全国大会にて「純粋持株会社本社によるグループ経営の理論と実態─三重交通グループホールディングス株式会社を事例とした企業の境界再設定試論─」と題して、企業の境界及び中間組織・準市場に関する議論を援用し、日本におけるグループ経営の進展を通じて、企業の範囲が拡大していること。そして、企業グループという新たな経営体に関する定義の設定が必要であることを提案することができた。 本学会報告では、多くの参加者から、企業の定義や範囲が拡大していることについて、理論的には理解できるものの、実際にグループ経営を行っている企業(本社)がグループ企業の定義などについてどのような認識を持っているのか。また、今回事例に選択した、三重交通グループホールディングス株式会社が妥当性を持つのか。などの新たな視点を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在のところ、本研究課題に関する研究は企業の境界や中間組織、準市場を援用した理論面からのアプローチが中心である。これらの理論研究は想定通りのペースで進んでいるものと判断している。他方で、前述「研究実績の概要」にある学会報告の結果から、グループ経営を行う企業に対する定量的調査が不可欠であることも明らかである。本調査の必要性については、本研究課題を設定した際にも、その必要性を認識していたことである。しかし、日本にあるグループ経営を行っている企業への調査を行うにあたり、その選定条件の設定ならびにアンケートをメインとした定量的調査実施にかかる住所一覧の作成・入力、さらには印刷物の封入などの発送準備作業に想定をはるかに上回る手間と時間を要しているため、2021年度中に発送を予定していたアンケート調査の実施が数か月遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年5月には、本研究において最も遅れていると思われる企業グループの本社に対した、企業グループの範囲並びにその定義に関する定量的調査(郵送によるアンケート)を可及的速やかに実施する予定である。その後、アンケート結果の集計を実施し、2022年度中を目標にまずは調査結果をデータ及び統計的にまとめていくこととする。続いて、本調査結果並びにこれまでの理論研究の双方を踏まえた上で、論文化を行い、研究者が所属する学内紀要である『阪南論集』に論文として投稿予定である。可能であれば、日本経営学会などの所属学会での報告を目指すこととする。
|
Causes of Carryover |
2021年度に実施予定であった、企業グループの範囲並びにグループ企業の定義に関する定量的調査(郵送アンケート方式)が遅れており、2021年度中の経費執行ができなかったこと。加えて、コロナ禍であったため、同調査にかかる学生アルバイト雇用ができなかったこと。さらには、各種調査にかかる学外出張がコロナ禍による自粛などもあり困難であったことが未使用金が生じた理由である。 今年度5月には、上記定量的調査(郵送アンケート方式)を実施することで、未使用金を執行する計画である。
|
Research Products
(1 results)