2021 Fiscal Year Research-status Report
キャリア初期におけるデベロップメンタル・ネットワークの形成プロセスの解明
Project/Area Number |
20K01956
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
坂本 理郎 大手前大学, 現代社会学部, 教授 (40449864)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デベロップメンタル・ネットワーク / メンタリング / 新入社員 / 上司のかかわり行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、キャリア初期にある企業等の若手従業員を中心としたデベロップメンタル・ネットワーク(個人の成長やキャリア発達を支援する多様な人間関係:Developmental Network、略してDN)が形成されるプロセスを明らかにすることにある。特に、若手従業員が従事する職務の特性および職場の人々とりわけ直属上司の関わり方が与える影響に注目している。研究事業の2年目にあたる2021年度は、当初の計画では調査協力企業等に勤務する若手従業員に対する調査を行う予定であった。しかしながら、幸いにも2020年度に前倒しで3人の協力者を見出して、インタビュー調査を行うことができたため、2021年度はそこで得られたデータの分析および考察、論文へのとりまとめの作業を中心に行った。 分析の結果を簡潔に述べると、以下のとおりであった。DNが部署外に拡張する(しない)ことに影響した直属上司の関わり行動としては、次の2つが抽出された。なお、今回の調査では、組織外にまで広がるDNは確認できなかった。 ①緊密かつ緊張的な2者関係を促す関わり行動(直属上司から承認されたいという新入社員の欲求を媒介して) ②直属上司による委任と早期の自立を促す関わり行動(直属上司から自立したいという新入社員の欲求を媒介して) 従来の、DNを広げる要因についての研究は、先行要因とDNのタイプの関係についての研究があるものの、十分とは言えなかった。一方、メンタリング研究においては、ピア・メンタリングを促進する要因(文化、個人の態度、類似性など)の研究は多少あったが、上司の関わり行動についての言及はなかった。本研究において、DNの部署内での領域拡張に、直属上司との関係性が一定の影響力を有している可能性が仮説的にでも示されたことは、新たな知見になったといえる。以上の結果をまとめた論文は、研究者が所属する学会誌に投稿された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に期せずして3人の調査協力者を得ることができ、今年度中に論文を作成できた点では進捗は順調である。一方で、コロナ禍の影響もあり、調査対象者の人数は3人と当初の期待よりは少ない。その分、深い調査と考察を行ったつもりではあるが、ややもの足りない感もある。残された年次においては、可能であればさらなる調査を追加的に行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、期せずして順調に進んできてはいるものの、それだからこそもう1つの調査が行えないかを検討したい。調査協力者の探索は容易ではないが、たとえば今回の調査で協力を得たX社の新入社員を紹介いただくのも一案かと考えている。そうすれば、同じ前提条件下での比較分析を重層的に行うことができるかもしれない。もちろん、X社以外でも理論的に妥当性のあるサンプルになるのであれば、調査対象として加えたい。 また分析方法については、今回あらたにSCAT法を用いたが、投稿した論文の査読結果も参考にしながら、分析方法の改善を図っていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度も新型コロナウイルス感染拡大により、旅費の発生をともなう調査や学会参加などがなかったため、その分の残高が大きく影響した。次年度についても、状況の見通しがたたないため、旅費の発生は少ないと思われる。なお、調査や学会参加についてはオンラインでは実行可能な面もあるため、これらについては引き続き検討していきたい。
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