2021 Fiscal Year Research-status Report
Deep Learningを活用した広告コンテンツにおけるブランド混同の解明
Project/Area Number |
20K01963
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中山 厚穂 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (60434198)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ブランド混同 / Deep Learning / CNN / VGG16 / Grad-cam / Artificial intelligence |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、主に製品や生産技術の標準化によって、多くの消費財市場では競合製品間の物理的な差異や化学的な差異が減少している。マーケティング担当者の大切な役割として自社ブランドのポジショニングを強化する魅力的なビジュアルコンテンツ(写真やビデオクリップなど)を有する広告を開発し市場に浸透させることと、自社の広告が類似の広告コンテンツや派生するブランド・ポジショニングのために競合ブランドを強化しないように統制することが求められる。この問題解決のためにはブランド混同実験が活用されてきた(e.g.,Keon, 1983; Keon, 1984)。ブランド混同実験では競合するブランドの印刷広告を消費者に提示し,広告されているブランドを推測するように求めることで得られた印刷広告が表示されたときに各ブランドが推測された頻度を示す混同行列を用いて、ブランドの混同を検証する。このブランド混同実験のために画像データの解析と分類についての方法基づいた新たな方法が提案されている(Baier et al., 2012; Baier and Frost, 2018)。Baier and Frost (2018)では抽出された画像特徴から印刷広告間の類似性を計算し、その類似性に基づいてブランド混同実験の結果を再現する予測モデルを提案している。近年では、Deep Learningを用いた視覚コンテンツの認識についての研究が多く行われており、畳み込みニューラルネットワークは、多くのコンピュータビジョンタスクのための有力なアルゴリズムとなっている。以上から、本研究では差別化されたポジショニングやブランドの混同を予測するためにBaier and Frost(2018)を拡張し、より大量のビジュアルコンテンツ(写真、動画)を分析し、ブランド混同の予測のためにDeep Learningを活用した研究を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではDeep Learning を活用して広告コンテンツにおけるブランド混同のメカニズムの解明を目的として研究を実施した。近年では、Deep Learningを用いた視覚コンテンツの認識についての研究が多く行われており、畳み込みニューラルネットワークは、多くのコンピュータビジョンタスクのための有力なアルゴリズムとなっている。以上から、抽出された画像特徴から印刷広告間の類似性を計算し、その類似性に基づいてブランド混同実験の結果を再現する予測モデルを提案しているBaier and Frost(2018)を拡張し、より大量のビジュアルコンテンツ(写真、動画)を分析し、ブランド混同を予測するためのDeep Learningを活用した研究を実施した。これにより差別化されたポジショニングやブランドの混同の予測を目指した。これらの研究についてはおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
様々なブランド広告のビジュアルコンテンツ(画像または動画)を収集し,それらをConvolutional Neural Network model(CNN)を用いて分析を行う。その結果に基づいて、消費者が各ブランドについてどのようなイメージをいだいているかを明らかとする。また、t-distributed Stochastic Neighbor Embedding(t-SNE)などの高次元データを視覚化するための方法を用いて、訓練されたモデルの最終層の特徴を可視化し、画像間の類似性を把握する。分析結果から、各企業が行っているストーリーテリングに基づいた各ブランドの差別化と混同の状況を明らかとする。各企業が差別化戦略や模倣戦略など、どのようなコミュニケーション戦略を行っているのかを解明し、どのブランドが顧客のコミュニケーションにより有意性をもっているのかを示す。そして、各ブランドの画像を識別するにあたりCNNが画像のどの部分に注目しているのかを把握するために、Gradient weighted Class Activation Map(Grad-CAM)による分析を行う。これにより、CNNが画像のどの部分をどのように認識することで、企業のストーリーテリングを理解しているのかを解明する。さらに、訓練されたモデルによるAIによるブランドストーリーの認識と、消費者のブランド認識について比較する。消費者がWebに投稿しているブランドについての画像を収集し、動画広告から切り出した画像をもとに学習した結果を用いてブランド識別を行う。訓練されたモデルによるAIによるブランドストーリーの認識と、消費者のブランド認識とが一致しているブランドと相違しているブランドを明らかとする。以上の研究成果を踏まえて、Deep Learningを使用した広告の効果を検証する。
|
Causes of Carryover |
今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当初発表する予定であった国際学会や国内学会での発表が中止や延期となったため使用できない経費が生じた。次年度以降に延期となった学会に参加することで経費を利用する予定である。
|
Research Products
(8 results)