2021 Fiscal Year Research-status Report
SNS上の他者の消費経験が文脈として購買の期待と評価に与える影響の計算論的検討
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20K01971
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| Research Institution | Hosei University |
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Principal Investigator |
諸上 茂光 法政大学, 社会学部, 教授 (60422200)
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2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | インスタ映え / 投稿動機 / 賞賛獲得欲求 / 行動変容促進 / 自己奉仕バイアス / 原因帰属 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
SNS上に拡散される消費経験の特徴を捉えるため，近年の特徴的な消費行動である「インスタ映え」投稿に着目し，他者に公開される消費経験の特徴を，投稿者の動機の観点からの解明を試みた．また，投稿意向に影響する消費者の個人特性や影響要因を特定するために，場面想定法を用いた心理調査を行った．その結果，自己高揚呈示の動機が高まるとインスタ映え投稿意向も高まることが確認され，人気希求や賞賛獲得動機等の消費者特性が影響することがわかった．また，消費者の独自性欲求や自己愛傾向によって好まれるインスタ映え投稿の構図が異なることが示された．
その一方，消費経験を共有された消費者が，購買経験にどのような期待を抱くのかを，昨年度に引き続き，行動変容促進型商品（ダイエット商品）を例に解析を進めた．
ダイエット商品の中でも，ダイエット器具は使用者がどの程度努力するかによって商品から得られるダイエット成果が異なるため，他の消費者の口コミを閲覧して購買を検討する場合に，消費者は自身が努力できる程度によって口コミに共感して購買意思決定を行うことが確認されている．
これに対し，ダイエットサプリメントなど，消費者があまり努力をしなくてもダイエット成果が得られるとされるような，消費者自身の努力が成果に介在する度合いが低い製品について，同様の調査を行い両者を比較した．
その結果，行動変容促進型商品の購買意思決定過程において，消費者は，努力が製品に影響する度合いによって，口コミに対する共感感情が異なり，口コミから類推する製品の評価が異なることが示された．とくに，口コミ閲覧者が口コミの内容から発信者の努力の程度と製品のダイエット効果を判断して製品の効果や印象を評価していることが示された点は，他者の消費経験が購買の期待に与える影響を説明する上で有用な発見であると言えよう．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り，SNS上の他者の消費経験の情報と消費者の期待および満足の関係についてモデル化を進めることができている．特に，SNS投稿者の動機を中心とした新たな変数に着目することにより，共有される消費経験の持つ特徴的な要因がいくつか明らかになっている．その過程で，国内学会発表2報，査読論文2編の掲載及び１編の投稿（査読中）も行っている．また，学会発表や査読者のコメントから，本モデルの実証に有効であると考えられる新たなフィールド（地域の消費）が見つかり，研究の新たな展開の準備を進めつつある．
こうした状況から，おおむね順調に進展していると評価した．
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り，これまでに得た知見と，発見した変数を利用しながら，SNSを通して逐次入力される他者の消費経験によって消費者の期待が形成され，商品・サービスの評価が規定されるメカニズムを説明するモデルの構築に取り組み，必用な実証実験を引き続き行う．
さらに，対象とする実証のフィールドを「地域の消費」に広げ，さらに多角的な視点から本研究で立てた仮説の妥当性を示す検証を進める．
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| Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で当初予定していた各種学会出張がキャンセルになり，昨年度に引き続き次年度に繰り越しになっている．次年度は（コロナ禍の状況次第ではあるが）可能な限り成果報告のための出張に積極的に参加する予定である．また，新しい実証実験の遂行のためにも予算を使用したい．
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Research Products
(4 results)
