2023 Fiscal Year Annual Research Report
SNS上の他者の消費経験が文脈として購買の期待と評価に与える影響の計算論的検討
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20K01971
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
諸上 茂光 法政大学, 社会学部, 教授 (60422200)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 投稿動機 / 自己 / 賞賛 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の消費者が消費経験をSNSに投稿する要因として,「娯楽」「情報」「報酬」「エンパワーメント」だけでなく,「統合と社会的相互作用」や「個人的アイデンティティの形成」が挙げられている(Buzeta et al.,2020等).実際にインスタ映え投稿のための消費・購買行動が日本市場で多く見受けられるようになり(佐藤2018等),SNSを活用したビジネスの重要性が認識されている. 研究代表者らは日本人を対象とした心理調査により,インスタ映え画像を投稿する口コミ投稿者の心理を分析しており,投稿動機に対していくつか特徴的な特性を明らかにしている(木暮・諸上2021).一方で,こうした特性が日本人消費者に特有なものなのかを明らかにするため,日本とは社会的文化的に共通する背景を持ち,自己やコミュニケーションの捉え方が異なるタイの消費者を対象としてインタビュー調査およびWebアンケート調査を行い,両消費者の特性を国際比較することによって,インスタ映え投稿の心理が地域や文化依存性を持つかや,投稿写真・メッセージ内容の特性に各文化における「自己呈示」の在り方がどのように影響するかを分析した. その結果,日本の消費者は投稿者自身が投稿内容で直接的に評価されることよりも共感されることを他人からの賞賛と捉え,それが投稿動機に繋がることが観測された.一方で,タイの消費者はより単純に,投稿者自身が褒められ,羨ましがられることが他人からの賞賛に繋がると考え,投稿動機となっていることが示唆された. これらの結果から,国民性や文化的背景の違いから,SNSにおいてどんな情報を得ようとするのか,どんな投稿が評価されるのか両国で大きく異なる可能性があることが示され,今後さらに精緻化を行う必要があると考えられる.
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Research Products
(4 results)