2020 Fiscal Year Research-status Report
企業間関係性の再検討:B2B-EC化とマルチ・チャネル化の進展と関係性研究の変容
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20K01974
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
原 頼利 明治大学, 商学部, 専任教授 (30366900)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 企業間関係 / マルチ・チャネル / デュアル・チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
さまざまな産業で、企業間取引のeコマース化およびオートメーション化とともに、調達チャネルおよび販売チャネルにおいて多様なチャネルが並存するマルチ・チャネル化が進展している。これらによって企業間関係性においてどのような質的な変化がもたらされているのかという問題に本研究は取り組んでいる。 本研究課題の初年度である当該年度では、マルチ・チャネルおよびデュアル・チャネルに関する先行研究のレビューを徹底して行った。マルチ・チャネルは、先述のように、一つの製品ラインの流通のために多様な種類のチャネルが併用されることを意味する一方で、デュアル・チャネルは、直接流通(企業の営業所やオンライン販売など)と間接流通(独立の卸売業者、代理店など)が併用されることである。今後の実証研究のために、先行研究を参考にして、どの程度マルチ化またはデュアル化されているかを測るための尺度を開発した。この尺度開発では、エントロピーの考えを応用した。また先行研究レビューを通じて、今後テストする仮説やリサーチ・モデルを開発している。その一つは、マルチ・チャネルやデュアル・チャネルの展開の程度が、垂直的および水平的な企業間関係、チャネルのパフォーマンスにどのような影響を与えるかを検証するためのモデルである。このリサーチ・モデルに関しては、次年度で実証分析を行い、国際学会または学術雑誌への投稿を行う予定である。 当該年度、Journal of Business and Industrial Marketingに論文が1本掲載された。この論文は、産業ネットワークにおいて共有されるネットワーク・ロジックの変化などの制度的変化について、テキスト・データとテキスト・マイニングの手法を用いて分析している。今後、本研究のテキスト・データを用いた研究にこの研究方法を応用するつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍でさまざまな制約はあったが、予定していた先行研究レビューを行い、今後の実証研究のための仮説やリサーチ・モデルの構築まで漕ぎ着けた。
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Strategy for Future Research Activity |
まだコロナ禍の終息が見込めない中、次年度予定していた企業へのアンケート調査の実施が難しいことも予想されるので、既に手元にあるデータまたは購入可能なアーカーバル・データなどを活用して何か実証研究できないか模索している。当該年度に作ったリサーチ・モデルの検証については、既存のデータで対応できると思われる。これについては、実証研究を行って、その成果を国際学会または学術雑誌に投稿する予定である。したがって、今のところ、研究計画の大きな変更はなく、研究を遂行する上での大きな問題点はないと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた海外出張および国内出張を行うことができなかったために次年度への多額の繰越が生じた。コロナ禍の終息後直ちに、企業調査や研究打ち合わせのための国内出張、国際学会への参加や共同研究のための海外出張を積極的に行う。実証分析のためのデータ収集については、次年度にアンケート調査の実施を予定していたが、状況次第ではデータの購入など別の方法で柔軟に対応できるよう準備している。
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