2023 Fiscal Year Annual Research Report
企業間関係性の再検討:B2B-EC化とマルチ・チャネル化の進展と関係性研究の変容
Project/Area Number |
20K01974
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
原 頼利 明治大学, 商学部, 専任教授 (30366900)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 企業間関係 / マルチチャネル / デジタル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、デジタル化が進展する流通における企業間関係の変容やマルチチャネル戦略の展開に関して実証研究を行うことを目的としている。昨年度まで行ってきたマルチチャネル・システムにおける組織間関係のガバナンスに関する研究を継承しつつも、当該年度は、新たにマルチチャネル・システムにおける企業間学習の問題に焦点を当てた。 A I、ビッグデータ、ブロックチェーンなどのデジタル・トレンド、そしてマルチチャネル戦略の展開はチャネル・システムにいくつかの構造的な変化をもたらしてきた。まず、マルチチャネルの展開はチャネル・システムにおける関係の多様化をもたらした。デジタル化は、取引相手の探索を容易にするなど、やはり取引関係の多様化をもたらした。ブロックチェーンなどのデジタル技術は、デジタル信頼と呼ばれるものをもたらし、従来の企業間関係における人的な信頼を陳腐化させていると言われている。しかし、流通における取引関係の質、つまり信頼は取引の効率化や取引相手の機会主義の抑制だけでなく、企業間学習にも影響する。実際、取引関係の質と企業間学習の関係に焦点を当てた既存研究が多くある。本研究は、デジタル化によって企業間学習においてまでも信頼の重要性は低下しているのかと問うた。その問いに対して、関係の多様性と関係の質(信頼)が企業間学習にどのような影響を与え、それがチャネル成果にどう影響するのかについて実証分析を行った。実証研究の結果、関係の多様性は外部知識の獲得を促す一方で、関係の質は獲得した知識の深い理解を促し、その結果として外部知識の活用が促されることがわかった。つまり、関係の多様性と関係の質は企業間学習において別々の重要な役割を果たすことがわかった。 研究成果をまとめて、B2Bマーケティングの分野で評価の高いジャーナルであるIndustrial Marketing Managementに投稿した。
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