2020 Fiscal Year Research-status Report
想起集合の構成に対する時間的距離と社会的距離の影響に関する研究
Project/Area Number |
20K01979
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
菊池 史光 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (40611215)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 想起集合 / 時間的距離 / 社会的距離 / 解釈レベル理論 / 消費者行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は想起集合の構成に対する時間的距離と社会的距離の影響を理論的に考察した.その際本研究は,時間的距離や社会的距離が遠い場合には人は対象を抽象的に捉える一方で,時間的距離や社会的距離が近い場合には人は対象を具体的に捉えるという解釈レベル理論の枠組みを援用している.まず時間的距離や社会的距離が遠い場合,選択肢評価は主観的な基準にもとづいて行われることが想定され,その意味でこの選択肢評価には個人の価値観が強く反映される.そしてこの価値観は個人間で多様であるために,高く評価される選択肢は個人間でばらつきやすくなる.以上より,時間的距離や社会的距離が遠い場合,想起集合にカテゴライズされる選択肢は個人間で分散すると仮説設定した.他方で時間的距離や社会的距離が近い場合,選択肢評価は客観的な基準をもとになされる可能性が高くなる.そのため個人の主観が評価に反映される余地が小さく,結果として高く評価される選択肢は個人間で一致しやすくなる.この考察より,時間的距離や社会的距離が近い場合,想起集合にカテゴライズされる選択肢は個人間で集中するという仮説を導出している. また令和2年度は,想起集合の構成に対する時間的距離の影響について実証分析の準備を開始した.具体的には国内旅行における旅行先の選択場面を取り上げ,旅行への時間的距離の遠近によって旅行先の候補となる地域が旅行者間で分散するか,あるいは集中するかを検証するが,そのために必要な質問票の作成を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想起集合の構成に対する時間的距離と社会的距離の影響に関する理論的整理はほぼ完了し,実証分析の準備にも着手できている.以上を勘案し,研究の進捗はおおむね順調であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
想起集合の構成に対する時間的距離の影響について,仮説の検証に必要なデータの収集を行うが,この作業は調査会社に委託する予定である.併せて,想起集合の構成に対する社会的距離の影響を検証するための準備も進める.
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響から対面での研究会の参加がなくなったため,次年度使用額が生じた.残額は主にデータ収集のための費用に回す計画である.
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Research Products
(1 results)