2022 Fiscal Year Research-status Report
想起集合の構成に対する時間的距離と社会的距離の影響に関する研究
Project/Area Number |
20K01979
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
菊池 史光 玉川大学, 経営学部, 准教授 (40611215)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 想起集合 / 時間的距離 / 社会的距離 / 解釈レベル理論 / 思考型製品 / 感情型製品 / 消費者行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
自身への購買であるか,あるいは他者への購買であるかによって,想起集合の構成が異なるかどうかを考察した.解釈レベル理論によると,自身への購買では社会的距離は近くなる.この場合,人は対象を複雑で包括的な手法で評価する.一方,他者への購買では社会的距離は遠くなるが,この状況では人は対象を簡略化された手法で評価する傾向がある.令和4年度はこの知見をベースに,対象となる製品を思考型製品と感情型製品に分類した上で仮説の導出を試みた. まず思考型製品については,客観的な基準にもとづいた包括的な評価により,想起集合にカテゴライズされるブランドは消費者間で特定のブランドに集中する一方で,簡略化された評価では想起集合にカテゴライズされるブランドが特定のブランドに集中する程度は相対的に低下すると整理した.対照的に感情型製品については,包括的な評価では個々人の多様な主観が強く反映されたブランド選択が行われるため,結果として想起集合にカテゴライズされるブランドは消費者間で大きくばらつくと想定される.それに対して簡略化された評価では,個々人の多様な主観が想起集合形成に反映される程度が低下するため,想起集合にカテゴライズされるブランドが特定のブランドに集中する程度は相対的に高くなると整理した.以上より,「思考型製品に関しては,想起集合にカテゴライズされるブランドが消費者間で特定のブランドに集中する程度は,他者への購買より自身への購買において高い」および「感情型製品に関しては,想起集合にカテゴライズされるブランドが消費者間で特定のブランドに集中する程度は,自身への購買より他者への購買において高い」を主な仮説として導出している. さらに令和4年度は,上述の仮説の検証のための調査を実施し,データの収集を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想起集合の構成に対する社会的距離の影響に関する仮説の検証のため,本調査に先立ち事前調査を実施しているが,その結果が想定とは異なっていた.それを受けて,調査項目の見直しを行った.この作業によって本調査の実施が先延ばしされ,結果として論文執筆に遅れが生じている.
|
Strategy for Future Research Activity |
想起集合の構成に対する社会的距離の影響について実証分析を実施し,その結果を研究会等で報告する.その上で,得られた知見を速やかに論文としてまとめることを目指す.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により対面での研究会参加がなかったため,次年度使用額が生じている.残額は主に論文投稿に係る費用(論文投稿料,英文校閲費)に用いる予定である.
|
Research Products
(1 results)