2022 Fiscal Year Research-status Report
オンラインプラットフォームが流通取引慣行に与える流通政策研究
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20K01982
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
丸山 正博 西南学院大学, 商学部, 教授 (70365865)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流通政策 / 電子商取引 / eビジネス / プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に,デジタルプラットフォーム(以下PFと略す)を含む電子商取引市場の成長が今後与える影響についてまとめた。具体的には(1)店舗小売業の費用構造に起因する,小売店舗の閉鎖と買物弱者問題の顕在化のおそれ,(2)デジタル財やPFビジネスにおける,その費用構造やネットワーク効果に起因する寡占化の進行と法規制強化の可能性,(3)こうした寡占化と一見相反するシェアリングエコノミーやクラウドソーシングなど特定分野における新規参入の容易化や消費者の副業を含む金銭獲得機会の拡大,(4)Web3と称されることのあるNFT(Non Fungible Token)などブロックチェーン技術を用いた新サービスの提供による,PFサービスのあり方の変化や,デジタルコンテンツ流通での小規模ビジネスの展開の可能性を指摘した。 第二に,当該分野の流通政策の近時の変遷と今後の方向性に関してまとめた。具体的には電子商取引領域における流通政策を(1)独占禁止法を中心とする競争政策,(2)競争政策の一領域である消費者政策,(3)経済産業省所管を中心とする振興政策,(4)調整政策としての著作物などデジタルコンテンツ流通政策の4つに分けて考察したうえで,同領域における流通政策は種々の法改正や政策運用など変化を続けていること,とくにデジタルコンテンツに関しては,従来流通政策の検討対象となることは少なかったが,近時のデジタル財市場の成長から著作権など知的財産分野に関する流通政策研究上の考察の必要性が高まっていることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による出張削減での情報収集不足。
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Strategy for Future Research Activity |
研究完成の最終年度とすべく,第一にはとくにeビジネス全般に関する流通政策の学会発表を行い,学術視点からの研究内容の修正と取りまとめを行う。第二には,実務視点からの最新事例の収集を行う。第三に既に取得している,デジタルプラットフォームビジネスの中でも成長著しいサブスクリプションサービスに関する消費者調査に関する定量分析を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため出張場所の変更や回数削減を行ったこと,消費者調査についての費用が不要となった。取り組みが遅れているプラットフォームビジネスの最新動向の聴取のために国内出張を適宜行う予定である。
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