2023 Fiscal Year Research-status Report
製品主観評価構造に内在する曖昧と異質性を考慮するモデル構築法と評価知見の体系化
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20K01985
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
領家 美奈 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (10303348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 忠彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40400626)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感性 / 消費者異質性 / ベイズ統計 / 評価構造同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,楽しさや感動などの感性的効用に配慮したココロに響くモノづくりや購買支援サービスを実現することを狙いとし,感性的効用の曖昧さ,個人差,多義性に伴う困難を積極的に活用し,顕在化した評価の背後に内在するメカニズムを明らかにする基盤技術の開発を行う. 従来,製品などに対する主観評価は連続的に変化するが,離散的尺度を用いて主観評価データを取得することが一般的である.主観評価は,製品に対する感性評価,被験者の知見,そして,回答の文脈により揺らぐことが知られている.離散値による回答と揺らぎの関係を構造化するモデルは潜在顧客の評価構造の解明に有用である. 本年度は,上記の問題に接近するモデルの開発およびその妥当性評価を主に行った.SD尺度のような順序付き離散データとして測られる各被験者の回答の背後に連続的な振舞いをする回答の確率分布があるとし,評価実験で得られた回答はその分布から表出した1点であるとする.具体的には,離散データで収集された評価構造として背後に多様な表現能力を持つベータ分布を想定したモデルであり,階層ベイズ構造化ベータ分布モデルおよび推定アルゴリズムを提案する.シミュレーションデータによるモデル同定アルゴリズムの性能評価,ならびに,実データを用いた数値実験により提案モデルと推定アルゴリズムの妥当性を検証した.その結果,シミュレーションデータに対してはベータ分布のパラメータを再現することができ,推定アルゴリズムの十分な性能が得られた.小規模な実データに対しては,得られたベータ分布のパラメータの考察を通して,新たな知見を得ることができ,本手法の有用性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,感性評価実験を令和2年度に実施し,製品主観評価構造に関するデータ収集を実施する予定であったが,コロナ禍の影響を受けて購買意欲や評価視点が従来と異なることを考慮し,実施順序を変更した.しかしながらコロナ禍が長期化し,引き続き消費者の購買意欲がコロナ禍による影響で減退しているため,製品評価のデータ収集が遅れている.プロトタイプの開発に取り組むことを中心としている.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響から解放されつつあり消費者の購買意欲の回復が言われているので調査設計と実施,ならびに,分析手法開発の適用を行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は,コロナ禍のため出張旅費の使用が困難であったこと,製品やサービスの評価に関してコロナ禍前の従来と異なる傾向をできるだけ取り除いてデータ収集の感性評価実験を行いたかったためである.使用計画としては,データ収集実験の設計と実施,ならびに,開発している方法論を用いた分析,論文執筆活動,成果報告となる.
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