2020 Fiscal Year Research-status Report
複数商品カテゴリ購買を考慮した購買行動の統合モデルに関する研究
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20K01987
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 栄作 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (10366940)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 統合モデル / 来店間隔 / カテゴリ購買生起 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,小売業の視点から消費者の購買行動に関する理解をさらに深めていくために,消費者の購買行動プロセスの複数のフェーズ(主に来店行動段階とカテゴリ購買意思決定段階)を統合し,かつ複数商品カテゴリを考慮した購買行動の統合モデルの構築を目指して取り組んでおります。また,このような統合モデルを適用した実証研究を通じて,複数の商品カテゴリで実施される品揃えやプロモーション等の施策が,消費者の購買行動,具体的には顧客としての継続・離脱,来店タイミングや頻度,カテゴリ購買の意思決定に及ぼす影響,ならびにそれらの相互関係に関する知見を得ることも,本研究の目的としています。 上記の研究目的に対して,令和2年度は,関連論文・文献の整理として,主に単一のカテゴリのみを考慮した統合モデルに関する既存研究の整理を行い,その成果は論文「来店間隔とカテゴリ購買生起を考慮した購買行動の統合モデル」にて公表いたしました。また,②基礎となる統計モデルの構築と実証研究として,単一カテゴリにおける品揃え等変化を考慮した統合モデルを構築し,ある小売店舗のID-POSデータに適用した実証研究を行った成果,特定のカテゴリにおける品揃えの変化が,同カテゴリの購買生起に対してのみではなく顧客の来店行動にも影響を及ぼし得ることを,はじめて実証的に示すという成果を得ました。この成果についても上記論文にて公表するとともに,日本マーケティング・サイエンス学会第108回研究大会にて報告いたしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,複数商品カテゴリを考慮した購買行動の統合モデルの構築を目指して取り組んでおり,主な研究活動として,①関連論文・文献の整理,②基礎となる統計モデルの構築と実証研究,③複数カテゴリの購買生起部分のみを対象としたサブモデルの構築,④同サブモデルを利用し複数カテゴリの購買生起を考慮した統合モデルへの拡張と実証研究,⑤カテゴリ購買生起の要因として品揃え等施策の影響を組み込んだ統合モデルの実証研究,が想定されます。 本研究期間の初年度である令和2年度は,①関連論文・文献の整理に関して,主に単一のカテゴリのみを考慮した統合モデルに関する既存研究の整理を行い,その成果を論文として公表いたしましたこと,ならびに②基礎となる統計モデルの構築と実証研究として,単一カテゴリにおける品揃え等変化を考慮した統合モデルの実証研究を行い,その成果につきましても同一の論文にて公表し,学会において発表いたしましたことから,本研究課題全体としておおむね順調に進展していると判断しております。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,前年度に引き続き,主に,①関連論文・文献の整理,②基礎となる統計モデルの構築と実証研究に関する研究活動を進める予定でおります。 はじめに①関連論文・文献の整理に関しては,既存研究の整理の範囲を複数カテゴリの購買生起に関する研究に広げ,その後に想定している,③複数カテゴリの購買生起部分を対象としたサブモデルの構築に進むために必要となる情報を整理していくことを想定しております。 2つ目の②基礎となる統計モデルの構築と実証研究に関しては,令和2年度の実証研究では事例として1つのカテゴリのみを分析したのみに留まっているため,分析対象カテゴリをさらに増やしてカテゴリ間の特徴差異を比較考察するための分析事例の蓄積を図っていくことを想定しております。またその前段階の作業として,分析対象カテゴリの選定と,それら複数カテゴリに対応したデータの前処理のためのプログラム開発を行っていくことを予定しております。特にこのデータの前処理プログラムには数か月程度の期間を要することが見込まれますため,令和2年度は,翌年度以降の研究に向けて必要となる情報とデータ整備に重点を置いた研究活動を主に行っていくことを想定しています。
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Causes of Carryover |
2020年度の試用計画に従って必要な使用はすべて行ったうえで、残額が3円となっております。この残については、次年度の物品費として支出する予定でおります。
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