2020 Fiscal Year Research-status Report
The effect of the acquisition of certification in branding and sustainable brand development.
Project/Area Number |
20K01988
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
林 靖人 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (60534815)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域ブランド / 地域団体商標 / 市田柿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認証制度等が生み出すブランド・イメージの変化と持続的発展の関係性を検討するものである。具体的には、GIや地域団体商標などの取得が、消費者の地域ブランド商品に対する安全性や付加価値などのポジティブ・イメージを強化し、消費行動を促すことで、その波及効果として生産環境の充実(原材料確保や生産増)、生産者育成・雇用環境確保、知財権利保護などが生み出されているか、すなわち「地域ブランドの循環型発展モデル」について検証することである。 2020年度(初年度)は、地域団体商標「市田柿」をケースに、上記モデルの論理的妥当性を検証する基礎調査を実施。地域団体商標の申請団体である「JAみなみ信州」を始め、発祥地の高森町において高森町役場(関連部署)、農家、加工者(生産者を兼ねる場合も含む)、小売り事業者(個人販売者、道の駅等小売店)、地域の住民、一般消費者へのヒアリングおよび現地調査を実施した。 調査の結果、地域団体商標の取得は、生産環境等の「標準化・平準化」を加速し、品質の底上げや衛生・安全面の向上などブランド毀損に繋がるマイナス要素の減少に繋がっていること、また、ブランドの正当性が確保されることで、行政等による集中的な支援などの妥当性(根拠)にも繋がることなどが示された。 一方で、若者等における知名度向上や新規顧客の獲得と商標取得はあまり連動していないこと(※若者の食に対するニーズとのミスマッチも大きく影響)、市田柿の特徴でもある伝統的製法とそれが生み出す地域の風物詩的景観(軒下の柿すだれ)が、大きく制約を受けていることなどの課題が示された。 本調査結果については、特許庁や所管する関東経済産業局の知財室ともディスカッションし、制度導入から10年以上が経過する中での課題として共有し、「循環型発展モデル」を想定した制度への発展可能性について継続的に意見交換を行う体制を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染/拡大防止策(緊急事態宣言や蔓延防止重点措置)が採られる中、大学としても学外への移動が制約を受けており、訪問先でも受け入れ困難な状況がある。初年度は、"現地での視察を含めたヒアリング"を必要とした本研究に関しては、実施ができない事項が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
地域のへの視察においては、Zoom等での対応ができない相手先もあるが、可能なところから進めることとする(一部順番の入れ替え)。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染・拡大防止の観点より一部予定していたヒアリング・現地視察等を取りやめたため、旅費等において想定額を下回ったことで差額が発生した。2021年度に追加実施、あるいはオンラインでの調査や実施先等を変更調整して使用する予である。
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