2020 Fiscal Year Research-status Report
公共交通の連携と統合による利便性向上が訪日外客数に与える影響の解明
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20K01996
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
後藤 孝夫 中央大学, 経済学部, 教授 (60435097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智泰 近畿大学, 経営学部, 教授 (20511182)
西藤 真一 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (00581117)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公共交通 / 連携 / MaaS / 企画乗車券 / グラビティモデル / 訪日外客数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地域間移動(日本までの国際間移動と国内の地域間移動を含む)と地域内移動を体系的に研究するために,LCCや高速鉄道といった地域間公共交通とMaaS(Mobility as a Service)に代表される地域内公共交通との連携および統合に着目し,公共交通の連携と統合による利便性の向上が訪日外客数に与える影響について定量的に分析することを目的とすしている。 本年度は研究開始年度であったため,次年度以降の研究の基礎となる研究活動を行った。具体的には,本年度の研究活動の実績は次の3種類に分類することができる。第1に,本研究にかかわる文献調査の継続的な実施である。具体的には,公共交通統合の一例であるMaaSに関する研究動向について,Transportation Research Part Aなど,交通分野における主要な海外ジャーナルに掲載済みの先行研究の整理を行い,次年度以降の実証研究で検証すべき変数を検討した(例えば,G. Lyons et al.(2019)“The importance of user perspective in the evolution of MaaS”, Transportation Research Part A 121,22-36など数十編を対象)。第2に,国内の公共交通の連携事例として企画乗車券の事例を取り上げて,その経済学的な意義について検討した。そして,第3に,グラビティモデルによる訪日外客数の決定要因について検討し,公共交通機関の整備水準や短期ビザの発給条件の緩和(観光庁が重点市場としているなかで短期ビザの免除対象国となっていない国が対象)に関する追加の変数を選定したうえで分析の改善に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画として予定していた研究活動のうち,①MaaSに関する研究動向に関する文献調査の実施と②訪日外客に関する基礎的なデータの継続的な収集、および③訪日外客の旅行行動に影響を与える要因(変数)の発見と関数の特定化、についてはおおむね達成できたと考えられる。 しかしながら,本年度に予定していた「空港選択モデル分析とDID分析に利用するアンケート調査の実施」については,新型コロナウィルス蔓延の影響により,実施できなかった。 以上から,本年度の進捗状況を「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,本年度に蓄積した知見を用いて,公共交通の連携の効果を定量的に検証することを目指している。より具体的には,「地域公共交通の統合前後でのDID分析」に着手したい。一方で,フィールドワークが伴う「空港選択モデル分析とDID分析に利用するアンケート調査の実施」については、新型コロナウィルスの終息状況に応じて検討していきたい。また,上記研究の途中段階においても,本研究で得られた知見・分析結果を積極的に国内外の査読雑誌へ投稿していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度予定をしていた研究はおおむね実施できたが,新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり,予定していたフィールドワークやアンケート調査に関わる費用分が今回の残高(549,093円)として計上された。今回の残高については,次年度以降に延期したフィールドワークやアンケート調査実施に関わる費用に充当させていただければと考えている。
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