2020 Fiscal Year Research-status Report
Antecedents and consequences of continuous improvement on retailers' innovation
Project/Area Number |
20K02001
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金 昌柱 立命館大学, 経営学部, 教授 (40580501)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 革新的仕入活動 / 小売バイヤー / 仕入先管理 / プライベートブランド / コンプリート / 店舗成果 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では、小売企業の仕入戦略において革新的仕入活動の導入に関する実践的・理論的課題を、バイヤーの継続的MD改善に関する管理の視点から明らかにすることを目的としていた。この理由で、日本のスーパーマーケットを展開している小売企業の事例研究や質問票調査データに基づく仮説検証を実施した。 Takashima and Kim (2021)の研究においては、仕入れ局面における小売企業が重要視するプライベート・ブランド(PB)の商品ポジショニング(すなわち、低価格重視か差別化重視か)が与える店舗成果への影響が、これらのPBを提供するサプライヤーとのコンフリクトによってどう変わるのかに関する示唆を提供している。 具体的に、次の3つの発見が得られた。第1に、低価格と差別化志向という二つのタイプのPB商品は店舗成果を高めている。第2に、サプライヤーのコンフリクトは小売店舗の成果を引き下げる要因である。第3に、差別化志向のPB商品はサプライヤー・コンフリクトと直接的な関係は見られなかったものの、低価格志向のPB商品はサプライヤー・コンフリクトを強めるものであった。以上のことを踏まえると、Takashima and Kim (2021)の研究では低価格PBが店舗成果に与える正の影響は、サプライヤー・コンフリクトによる負の影響によって相殺されてしまうという興味深い発見を提示している。したがって、これらの発見による実践的な示唆として、小売企業が低価格PBを積極的に導入する際には仕入先企業との関係管理も考慮した戦略的思考が求められるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度ではコロナの影響で予定していたインタビュー調査などの事例研究が順調に進んでいないものの、定量的な仮説検証による研究成果の国際発信が計画通り行われた。そして、中小小売企業を対象とした関連する研究課題も国内学会で発表したと同時に、これらの研究成果を国際ジャーナルへ投稿しており、複数の投稿原稿が査読中である。この理由で当初の計画からすると、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
小売バイヤーの継続的MD改善に関する管理問題を考察するうえで、継続的MD改善、部門間連携、企業間関係の上記の3つの要因間における相互作用を実証的に考察する。これによって近年の小売企業における仕入戦略のあり方を解明するうえで、バイヤーの仕入行動、企業間関係、内部組織を関連付ける小売企業研究の理論枠組みを提起することを目標とする。 申請課題での焦点として、まず、継続的MD改善の促進・阻害において2つの組織内外要因との関連性についての研究課題がある。①店舗部との緊密な協調関係を構築するうえで店舗とのコミュニケーションやコンフリクトなどの部門間連携、②仕入先との共同革新を導くうえでパワー、協調、依存度などの関係管理という2つの要因との関連性を検証することが、重要な課題となる。 とくに、店舗との関係管理に関しては店長と販売員の役割の重要性も高まっている。したがって、本研究の長期的視点においては、商品部の責任者に基づく定量的データだけではなく、店舗部の責任者あるいは店長による定量的データも加味した研究課題へのアプローチも必要されている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由は次の通りです。2020年度ではコロナ禍のなか、Global Marketing Conference(韓国)をはじめ、国内外学会がオンラインで実施されたことと、国内外における小売企業へのインタビュー調査を控えたことから旅費の執行が抑えられた。これらの環境は2021年度においても予測不可能になっている。ただし、状況が改善され次第、本研究課題を解決するうえで企業へのインタビュー調査も取り組みながら、その成果を国内外学会へ積極的に発信していきたい。
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Research Products
(3 results)