2022 Fiscal Year Research-status Report
サブスクリプションにおける顧客価値と満足の構造解明
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20K02003
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
太宰 潮 福岡大学, 商学部, 教授 (60526391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 彰宏 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (10634272)
鶴見 裕之 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (70581198)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サブスクリプション・サービス / プライシング / 顧客満足 |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度の研究実績としては、【成果①】サブスクリプションを含むプライシングを専門とする企業との共同研究開始、【成果②】22年12月にメインテーマについての調査を実施し、調査データを分析した。分析結果は本中間報告時点の5月14日に学会発表済みである。【成果③】サブスクリプション・サービスを提供する事業会社と共同研究を開始予定、【成果④】通信販売業のリピートについての学会発表の4点が挙げられる。成果詳細は下記の通りである。 【成果①】:打合せや交流を重ねた上で、プライシングを専門とし、価格に関する新聞記事や経済誌記事などに頻繁に意見や寄稿をするコンサルティング企業との共同研究を2022年7月にスタートした。既に同社が収集した実データを踏まえた議論などを始めている。【成果②】:サブスクリプションの顧客満足や価格感度を調査する目的で、現サービスのユーザーに対する調査を2022年12月に実施し、約3000サンプルのデータを収集し、その分析を進めた。なお分析結果は23年度5月の消費者行動研究学会で発表済みであるが、発表自体はR5年度の成果となる。【成果③】:R4年度末にサブスクリプションを提供する事業会社との共同研究の検討をスタートさせ、本報告執筆段階で具体的な実行するデータ分析の内容等を検討しており、R5年度中の共同研究スタートを計画している。【成果④】:定期購入の形であるが、リピート顧客についての発表を11月に実施済みである。 研究計画時のRQのうち、1つ目と3つ目については大部分をR3年度で達成をしたことを報告済みであるが、本中間報告の成果の②は、RQの特に2つ目「サブスクリプションは顧客の利益や便益にどれほど寄与しているのか」について解を出すものである。ただしその分析結果は、RQの1つ目の顧客満足の構造と、RQ3つ目のいかに関係性を築くか、にも重要な示唆をもたらすものとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「おおむね順調に推移」とした理由は、前年度の「今後の研究の推進方策」で示したことをR4年度中に全て実行し、さらにR5年度の展望も極めて順調と捉えられるためである。前年度の方策のうち、海外学会報告は2023年5月にSeoulで行われるGlobal Marketing Conferenceでの発表がacceptされているが、報告自体はR5年度の成果となるためここでは割愛する。 進捗の中でもSaaS&サブスクリプション・サービスのプライシングを専門とする企業との共同研究のスタートは非常に意義が大きく、現在データのやり取りや結果の共有を含め、議論を深めているところである。 昨年度報告に記した、研究代表者による学習院大学・上田隆穂研究室での議論はR4年度においても月2度のペースで実行し、また研究分担者も加えた「オムニチャネル研究会」における月1回の頻度での議論も、そのペースを保ったまま実行した。 昨年度報告した企業データの分析は終了しているが、規模が比較的小さく、サービス展開初期の企業であることが分析結果の一般化・普遍化に影響すると判断し、本年度に新たに、研究実績概要の成果③で述べた共同研究先を模索するに至った。成果③で述べた事業会社は十分な規模とサービスの継続年数を誇っており、データ分析結果を一般化・普遍化する上で支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるR5年度は、まず本報告書作成時点(2023年5月)で、学会全国大会での報告を既に済ませている。研究実績概要で述べた成果②の分析結果を、2023年5月に日本大学で行われた日本消費者行動研究学会・第66回消費者行動研究コンファレンスのロングセッションで研究代表者が報告済みであり、これはR5年度の成果のひとつとなる。 それ以外の推進方策は大きく分けて3つある。メインとなる1つ目の方策が、RQの2つ目の解決を含めた上記成果②をまとめ、学会誌に査読付き論文として出版することである。R5年度中の出版実現は困難と思われるが、本年度中に少なくとも論文の下書きを終え、翌R6年度中の出版を目指して、国内外学会誌へ査読論文として投稿を行う。 2つ目は、研究実績概要の成果③で述べた、事業会社のデータ分析結果の研究発表である。リテンションに繋がる関係性を情報接触のログを踏まえながら探求する予定であるが、R5年度中の発表が困難であるとしても、R6年度の学会発表もしくは論文化を想定して分析を進める予定である。 3つ目は、コロナ禍の影響で海外学会出張旅費を中心にした経費支出計画が大きく変わり、経費に余裕が出た面を生かした調査である。成果②ではサブスクリプション・サービスの顧客は支払い価格の意識が弱いことが統計的にも確認できたが、年次払い・月次払いの価格認識と意識差等、いくつかの課題が残っているため、それをクリアにする調査をR5年度中に実施する。R5年度中の論文化までは困難であるが、こちらもR6年度中の発表とその先の論文化を目指して調査実施と分析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響によって旅費が研究申請時の通り使えないことが、まず大きな差を生む原因である。2022年度は計画の通りアンケート調査を実施したが、想定よりも安く実施することができたため、次年度使用額に余裕がある状態である。2023年度は計画に記した通り、アンケート調査に残金の多くを使う予定であるが、それでも余る場合は、外部データの購入等にあてる可能性がある。
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Research Products
(2 results)