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2022 Fiscal Year Research-status Report

電子記録移転権利がもたらす資本会計上の課題に関する研究

Research Project

Project/Area Number 20K02007
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

野口 晃弘  名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (90208314)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords電子記録移転権利 / 分散型台帳技術 / ブロックチェーン / ガバナンス / トークン / 自己発行
Outline of Annual Research Achievements

トークンの会計処理に関連して、企業会計基準委員会が公表した実務対応報告公開草案第63号「電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理及び開示に関する取扱い(案)」と「資金決済法上の暗号資産又は金融商品取引法上の電子記録移転権利に該当するICOトークンの発行及び保有に係る会計処理に関する論点の整理」を材料に研究を進めた。その後、公開草案については、微調整が行われた上で、実務対応報告第43号として公表されている。これにより、トークンの中でも金融商品として分類できるものについては、従来どおり金融商品会計基準に基づく会計処理を適用すれば良いことが明らかにされた。
「論点整理」の【論点3】では、自己が発行したICOトークンの保有に関する論点が取り上げられており、「内部取引」あるいは「自己株式」のアナロジーを用いて、会計処理の議論が進められているものの、ブロックチェーンの性質を考慮すると、この点に大きな課題が残されていることが明らかになった。今後は、この点に着目して、さらに研究を進める必要がある。
ブロックチェーンは子会社とは異なり、ブロックチェーンの設置者がいつまでもブロックチェーン上の意思決定を左右できるわけではない。パブリック型のブロックチェーンであれば、ブロックチェーンの将来を左右するのはトークンの保有者だけとは限られず、マイナーを含むそのブロックチェーンに係わるコミュニティーの参加者となっている場合も考えられる。さらに、意思決定に特化したトークン(ガバナンス・トークン)が発行されていれば、さらに話は複雑になる。
ブロックチェーンのガバナンスの実態そのものが研究対象となっており、分散型台帳技術といわれているものの、実態はそこまで分散していないという研究結果を示す先行研究も存在している。そのため、ブロックチェーンのガバナンス研究そのものも大きな課題である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2022年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、当初、参加を計画していた研究集会で再開されていないものもあり、海外渡航あるいは海外からの研究者を招聘しての研究を進めることができなかった。

Strategy for Future Research Activity

2023年度は海外渡航及び海外からの研究者の招聘が可能となったことから、これまで3年間進めることができなかった対面での研究活動を進めることにする。5月にボストンで開催される会計情報システム関連のアメリカ会計学会主催の研究集会(Accounting Information Systems Bootcamp)に参加し、ブロックチェーンに関する最新の情報を収集するとともに、参加者との対面による意見交換の機会を確保する。同時に、数は多くはないもののオンラインで参加できる海外学会や国際研究集会には引き続き参加することに努め、オンラインでの資料収集・情報収集・意見交換も継続する。これは、航空運賃等の高騰により、当初の研究計画で予定していた金額の範囲で可能な海外渡航や研究者の海外からの招聘の内容を変更せざるを得なくなったからである。
これまでの研究成果について、国内では、すでに依頼を受けている日本会計研究学会第150回記念中部部会における記念講演の中で発表するとともに、海外への研究成果の発信方法としては、International Conference in Business, Economics and Information Technology 2024 の自由論題報告に応募することを計画している。
さらに、海外から研究者を招聘し、対面でセミナーを開催するとともに、オンラインを併用することによって、国内外へ研究成果を発信することに努める。
以上の研究活動によって得られた成果は、最終的に論文としてまとめ、国内外の学術雑誌に投稿する。

Causes of Carryover

新型コロナ感染症の影響で、海外学会や国際研究集会に海外渡航して参加することができず、また、研究者を海外より招聘することができなかったため、旅費や謝金その他について、次年度使用が生じている。2023年度については、海外学会あるいは国際研究集会に参加し、海外から研究者を招聘して、対面による情報収集・意見交換を通じた研究活動により、研究計画の遅れを取り戻す。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 制度会計における課題2023

    • Author(s)
      野口晃弘
    • Journal Title

      経済科学

      Volume: 70(3) Pages: 5-9

    • DOI

      10.18999/ecos.70.3.5

  • [Journal Article] トークンの本質と会計上の課題2022

    • Author(s)
      野口晃弘
    • Journal Title

      會計

      Volume: 202(3) Pages: 231-243

URL: 

Published: 2023-12-25  

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