2022 Fiscal Year Annual Research Report
Genealogy of modern French control theory: paradox, business model, co-creation strategy
Project/Area Number |
20K02010
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
大下 丈平 下関市立大学, 経済学部, 特命教授 (60152112)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マネジメント・コントロール / 管理会計 / フランス / パラドックス / ガバナンス / 横断性 / ビジネスモデル / 共創戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業環境に順応するためのパラドックス概念の操作性を分析の基軸に据え、それをめぐるフランス・コントロール論の系譜に通底する理念の通時的な形態変化とその意味を理論的かつ実証的に闡明することを目的としてきた。この目的を達成するなかで、まずは1980年代から今日までを4期に分けて、それぞれにパラドックス概念の展開に一貫した論理を見出した。それはパラドックスの横断性を巡る認識であった。つまり、その4期のどの段階においてもこの横断性をパラドックスと認識し、それを緩和する手段を統合性獲得のための方策としてきたことを確認した。このことは本研究が単にコントロール論の歴史を辿ることではなく、コントロール論の系譜にあるところから、コントロール現象の起源を論理的に探ることを目指してきたことの証左であった。 本研究はコントロールの一般理論を求めて、フランス・コントロール論、特にブッカンのコントロール論のパラドックス概念を系譜学的に明らかにするという方法を取ったが、それはブッカンの膨大な研究成果をパラドックス概念によって整理することにも繋がっていった。 以上が研究期間全体を通じた研究の成果であるが、これを補強する観点から、最終年度は、この分析に先立つ19世紀末から、さらに20世紀の両大戦間期を経た戦後のフランス高度成長期までのコントロール論の論理的な展開を探るべく、この期間の主要な工業経済論・工業会計論や分析会計論などを紐解き、改めてコントロール現象の起源を論理的かつ実証的に追跡してきた。その成果が論考「19世紀末フランス工業会計論の再検討」として結実している。 なお研究期間全体がコロナ禍に当たり、国内・国外とも出張がほぼ不可能となり、経費支出項目を大幅に変更せざるを得なかった。しかし遠隔会議によりその実を取り、研究期間3年間で研究成果として2冊の英文書を出版するという実績をあげることができた。
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