2021 Fiscal Year Research-status Report
原価企画のグローバル化に貢献できるインタンジブルズ経営のあり方に関する研究
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20K02017
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
小酒井 正和 玉川大学, 工学部, 教授 (50337870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田坂 公 福岡大学, 商学部, 教授 (80435932)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 管理会計 / 経営工学 / 経営学 / 会計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、管理会計論および経営工学の文理融合的観点から、原価企画のグローバル化・現地化に貢献できるインタンジブルズ(無形の資産)のマネジメントのあり方について探究し、グローバル時代の原価企画活動のリファレンスモデルを提示することにある。本研究における研究課題のうち、令和3年度における課題は、①IT経営革新に役立つ業績評価システムの研究、②インタンジブルズ経営の海外展開の研究を進展させる一方で、ケース分析や質問紙調査を用いた実証分析を行うことにあった。 令和3年度は、令和2年度における訪問調査の遅れを取り戻すために、ASEAN諸国の組立メーカーと部品メーカーにおける生産機能・開発機能・原価企画活動の実態についてオンライン会議を使ったインタビュー調査を行い、原価企画の現地化における人的資本、情報資本、組織資本との間の関係性について調査を行い、ケース分析や質問紙調査の準備を進めた。また、国内企業への訪問調査も並行して行った。これらのインタビュー調査や訪問調査によって、ASEAN諸国の現地企業への訪問調査の遅れをある程度取り戻すことができた。 以上のように、遅れを取り戻す一方でより深くインタンジブルズの実務を探究するという問題意識をもって研究を進め、これまでの訪問調査やインタビュー調査から得た情報にもとづき、1編の論文を執筆した。それが、「YKKにおける原価企画戦略とインタンジブルズの結合-両利きの経営の視点から―」である。これによって、これまでの原価企画を実施する戦略とインタンジブルズの結合についての示唆を得ることができ、今後の実証研究の基礎を作ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、令和3年度の計画として当初は、実証研究の開始年度として位置づけており、当該年度の目標は、前年度から引きつづき文献研究と訪問調査を行うとともに、企業の実態について基礎的な分析を終了させることであった。その研究成果を進展させてケース分析や質問紙調査を開始し、理論的仮説の検証、原価企画のグローバル化に貢献できるインタンジブルズ経営の実践的指針の検討を試みる計画となっていた。しかしながら、令和2年度はコロナ禍の影響で研究の進捗状況は遅れてしまった。そのため、令和3年度は、令和2年度の研究進行の遅れを踏まえて、引き続き理論的な整理のために文献研究を実施するとともに、企業の訪問調査を断念し、オンライン会議を使ったインタビュー調査を実施した。 令和3年度におけるインタビュー調査では、令和2年度のうちに確保した企業とのネットワークをなんとか維持しつつ、オンライン会議などを用いてインタビュー調査を進めることができた。マレーシア以外の国に進出している日本メーカーの現地法人へネットワークを広げることまではできなかったものの、主にマレーシアに進出した部品メーカーにおける生産機能・開発機能・原価企画活動の実態について調査できた。しかしながら、質問紙調査の準備に着手し、ケース分析や質問紙調査に必要な仮説モデルの構想を行うことはできたものの、質問紙調査の実施には至っていないため、研究の進捗はやや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、本来であれば、質問紙調査の結果を踏まえて実証研究を進め、研究論文の発表や研究報告によって情報発信を行う計画であった。現状では、研究の進捗状況は、質問紙調査の実施が遅れており、現時点で準備を進めており、質問紙調査を実施する予定である。その結果にもとづいて、原価企画のグローバル化に貢献できるインタンジブルズ経営の実践的指針について検討を行い、研究論文の発表や研究報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
国内での移動については令和3年度内においてある程度緩和されたものの、海外への渡航に著しい制限がかかってしまったままであった。そのため、国内外への訪問調査を実施できず、多くの場合オンライン会議を使ったインタビュー調査を実施した。それにより、交通費を使用する機会が大幅に減少した。また、訪問調査の遅れの影響で、令和3年度中に質問紙調査を行うことができなかった。以上の理由により、使用額が少ないという結果になったため、使用額が生じている。令和4年度は、質問紙調査の設計を行い、実施する予定であるので、令和3年度において調査コストとして使用する計画である。
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Research Products
(8 results)