2021 Fiscal Year Research-status Report
19世紀前半英東インド会社と現地商人のジャーディンマセソン商会へ変貌の会計的背景
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20K02021
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山口 不二夫 明治大学, グローバル・ビジネス研究科, 専任教授 (90245340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 由二 大東文化大学, 経営学部, 教授 (40281597)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジャーディンマセソン商会 / カントリートレーダー / パートナーシップ会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
1793年にインド貿易の一部が自由化され英東インド会社は1813年にインドの独占貿易権を失う、1833年には中国との独占貿易も終了し商社としての役割を終える。その代わりに1832年にジャーディンマセソン商会が成立する。1799年からの商会資料に含まれる財務データを用いてCountry Traderが東インド会社に代わるJM商会に変貌していく態様を研究した。研究計画では英国で資料収集と現地の研究者とのディスカッションを行う予定であったが、2020年度に続いて21年度も新型コロナウイルスの影響で訪れることができず、以前に試験的に収集したデータを分析することで研究を行った。 2020年度は1799年から1814年までの帳簿とそのデータの変化を検討した。今年度は1815年から1825年までの間の変化の鍵となる1819-20年のLedger,Journal, Cash Bookの構造と,この間の帳簿の変化と盛り込まれたデータの変化さらに経営の変化を明らかにした。本商会では初期にはLedgerのみが残されている。1819年頃までにLedger, Journal, Cash Bookの3帳簿制となり役割が分割された。収入は当初Interests,Commissions,Factoryが中心であった。しだいにOpium取引が増加し,1812-13年期にはFactoryを売却し,Raw Silkの取引やOpium取引が主な収入となる。商会のビジネスが仲介あるいは取引相手に資金を貸出して金利を稼ぐビジネスを基本にしているが,自分でリスクをとって商品を購入販売するビジネスを取り入れた。1799年から1825年にかけて総資本は4.5倍に増加,出資額は18万ドルから50万4千ドルへ増加する。この期間の平均の自己資本利益率は18%程,自己資本比率は2割ほどで, 総資本利益率は4%程である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の最大の障害は、コロナ禍により英国を訪問し、大英図書館の英国東インド会社の帳簿の閲覧とケンブリッジの図書館のジャーディンマセソン商会商会の帳簿を閲覧できないことであった。 幸いなことに、これまでの研究では過去に蓄積した写真撮影資料を拡大して読み解くことで、完璧ではないがデータの収集を行うことができた。当該年度に再度撮影しもしくは現地でデータ確認を行う予定の、下準備の撮影であったが、モニターやコピーで拡大することで読み解くことが可能となった。判読が非常に困難な場合もあったが、写真データのデジタル上の調整や他の期との比較で多くは読み解くことができた。その結果、実績の概要に記したように会計史学会の全国大会で報告を行い、そのうえ学会誌(会計史学会年報)に投稿し、掲載することができた。その意味でここまではコロナ禍でも順調に研究を行うことができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在1800年から1814年までの商会の帳簿と財務データの詳細は論文とし、学会で1825年まで報告することができ、多くの貴重な意見をいることができた。学会報告での意見とその後の日本の研究者との交流による意見を受けて、今年は学会誌で1825年までの資本利益率を明らかにした論文を明らかにする予定である。さらに英東インド会社の商社機能が失われ、JM商会が成立する1832年までの変化を帳簿を用いて検討し、経営分析を加味した研究を行う予定である。 渡欧が可能ならば、現地で史料を確認したうえで資料の撮影を行いたい。論文化するためには、読みにくい部分は肉眼で確認をする必要がある。とくに1816年からは水没した資料が 多く、資料状態があまりよくないので、直接資料を閲覧したい。また、英国の研究者の意見も聞きたい。通常の研究の手順は、以下の通りである。肉筆の帳簿を読みやすい形の現代の帳簿に置き換え、当時の帳簿組織を解明し、主要勘定を表にして、そのうえで当時の同商会の業績を明らかにする。そしてそれ を経年で比較するのが目的である。 しかし、コロナ禍で渡英が困難な場合は、現在日本で行える研究に集中するしかない。 ひとつは、過去に予備的に撮影した資料をモニターやコピーで解読することである。その上で各勘定を読みやすい状態にしたうえで、帳簿組織を明らかにし、 企業の取引経済状態を明らかにしたい。 また、渡英できず資料解読ができない場合は、文献を用いて当時のほかの企業との比較や他国の企業の帳簿や簿記書との比較を通じて簿記史への貢献を考えた い。すなわちこれまでの研究成果を、簿記史の中に位置づけるという作業である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は、コロナ禍により海外の調査ができなかったことに尽きる。本研究は英国大英図書館の東インド会社の原帳簿とケンブリッジ大学で門外不出のジャーディンマセソン商会の史料を使用して、帳簿の詳細とそのデータの経営分析を行うことが最大の眼目である。そのために夏季及び春季の英国での資料収集に予算をとっている。2022年度には渡英が可能になると考えるが、その時のために予算を繰延させていただいた。事情をご理解いただきたい。渡英できない場合は以下のような研究方法を考えている。 ひとつは、過去に予備的に撮影した資料をモニターやコピーで解読することである。その上で各勘定を読みやすい状態にしたうえで、帳簿組織を明らかにし、企業の取引経済状態を明らかにしたい。その際は資料解読のために、渡英費に替えて19世紀前半の手書き英文に詳しい補助者の人件費、モニター費用を必要とする。 また、渡英できず資料解読ができない場合は、文献を用いて当時のほかの企業との比較や他国の企業の帳簿や簿記書との比較、これらの専門家とのディスカッションを通じて簿記史への貢献を考えたい。すなわちこれまでの研究成果を簿記史の中に位置づけるという作業である。その際は渡英費に替えて文献代、専門家の招へい費用を必要とする。
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Research Products
(2 results)