2022 Fiscal Year Research-status Report
An Accounting History Study on Japan-Netherlands Trade
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20K02023
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
橋本 武久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00290601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 会計史 / オランダ東インド会社 / イギリス東インド会社 / 簿記 / 会計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画では、初年度は、オランダ東インド会社(VOC)の本国側における資料の収集、東京大学史料編纂所における平戸および出島長崎商館資料(の調査、そして、オランダや長崎での現地調査を実施することとしていたが、コロナ禍のため当初計画の変更を行うこととなり、既存の資料を使用して当該研究テーマの基礎的研究を行うこととした。具体的には、『平戸市史海外史料編』に所収の平戸商館の帳簿をもとに、当該テーマの論点整理を行った上で、2年目に予定していた長崎支店における、商館員に認められていた私貿易と江戸参府や進物費などの関係について会計帳簿を基に計数的に検討を行い、その成果を学術雑誌に発表した。 2年目の当初計画は、国内外での会計資料の発掘・収集を行ってデータベースを完成させ、中間成果報告用のホームページの作成を開始することとしていた。しかしながら、昨年度もコロナ禍のためこの計画を変更せざるを得ず、1年目に前倒しした長崎支店の会計史的研究の成果を深化させる目的で、近年オンラインで一部がダウンロード可能となったオランダ・ハーグにあるNationaal Archief(国立公文書館)所蔵の「平戸・長崎出島商館資料」を基にして、これまであまり重視されてこなかった長崎支店における商館給与簿をはじめとする補助簿の研究を行い、その成果を学術雑誌において発表した。 3年目に当たる本年度の当初計画では、これまでの分析結果を基に、協力関係にある海外の研究者とディスカッションや論文の作成を通じて、客観性、信頼性、そして国際感覚のある研究成果にすることとしていたが、前年度に引き続きコロナ禍が収束せず、オンラインで入手可能な資料や文献資料をもとに研究を行い、その成果の一部を学術雑誌において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述の通り、申請時には現地渡航による資料収集や調査を中心とした研究計画を策定していたが、本年度も昨年度、一昨年度に引き続きコロナ禍のため研究計画を変更せざるを得なくなり、昨年および一昨年の実施状況報告書で修正した通り、国内に所蔵されている資料と国外からオンラインで入手可能な資料を基に限定して研究を実施した。そこで、研究期間の延長を申請し認められた状況であることから、「全体計画のうちやや遅れている」と判断したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に計画していた海外渡航を伴う現地調査については、次年度中に実施できる見込みとなったため、現在渡航計画を策定中であり、渡航が実現した際には現地において、これまでの研究でリストアップした「オンラインで利用できない重要な資料」について収集と分析をおこなう。また同時に、これまで行ってきたハーグにあるオランダ国立公文書館(Nationaal Archief)所蔵で、近年オンラインにより一部がダウンロード可能となった、 Inventaris van de archieven van de Nederlandse Factorij in Japan te Hirado [1609-1641] en te Deshima、 [1641-1860]、 1609-1860( Nummer Toegang: 1.04.21)などのデジタルデータの収集と分析を進めるとともに、これまで十分に調査が行われてこなかったアムステルダム市公文書館など、各地域の公文書館所蔵資料についても調査を開始する。また、本研究課題について詳しい現地研究者とも面会し、助言を求めるとともに、最終報告書作成に資する検討会や本研究成果を基にした共同研究の可能性についても探りたい。また、これまでの成果を再構成の上、加筆修正し英文論文とする作業を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度、一昨年度に引き続き、コロナ禍のため本年度の当初計画にあった、当該研究課題の研究基盤の確立に不可欠な海外渡航及び国内出張を基本とした現地での資料の調査・収集が、実行不可能となり、研究計画を変更せざるを得なくなった。そこで、本年度も一昨年同様、研究に必要不可欠な備品や資料の購入にとどめたため次年度使用額が生じた。なお、繰越された金額は、コロナ禍が収束してきたことから、予定通り現地に調査に実行するためその旅費交通費や現地での資料の調達費に充てる。
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Research Products
(1 results)