2020 Fiscal Year Research-status Report
予算スラック測定尺度の開発および尺度の有効性検証に関する研究
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20K02026
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
李 建 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (10298680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 美庚 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30351985)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 予算スラック / 測定尺度 / 目標設定 |
Outline of Annual Research Achievements |
予算管理研究において予算スラックは重要な概念となっているが、その測定方法を巡っては研究者間で十分なコンセンサスが得られていない。これまでの多くの関連研究では、研究者によって異なる測定方法がとられ、そのことが研究成果の比較可能性を損ねる原因となっていた。たとえば、予算スラックの形成傾向を調べることで予算スラックの量を間接的に測定しようとする研究、予算目標達成の容易さや余剰資源などによって予算スラックを主観的に測定しようとする研究、公表された会計データを用いて予算スラックを客観的に測定しようとする研究などが見受けられるが、いずれの測定方法も限界が認められる。 本研究では、信頼性と妥当性の高い予算スラックの測定尺度を開発することを研究の目的とし、まずは関連分野の幅広い文献研究を行った。予算スラックを予算目標の難易度との関連で理解するためには目標設定理論の知見が必要となる。同理論では、明確で難しい目標が高いパフォーマンスに結びつくとし、このような関係は人々が自分の目標にコミットしているときにもっとも強くなるとしている。また、エージェンシー理論では、高いパフォーマンス達成時の目標水準の引き上げ傾向はラチェット効果をもたらすとしており、いずれも予算スラック問題と深い関連が認められる。一方、目標困難度がパフォーマンスに及ぼす影響が、とくにフィールド・スタディでは必ずしもポジティブなものではないことに着目し、目標困難度とパフォーマンスの間に目標柔軟性という媒介変数の導入を試みた研究(Markus and Martin, 2015)も見受けられる。これらの知見は、予算スラックへの理解をさらに深めるものといえる。次年度は、広範な文献研究と並行し、予算スラックが主観的な判断を伴う心理的な現象であることを踏まえ、心理尺度の開発について研究を続けることにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のなか、フィールド調査や海外の研究協力者との打ち合わせが予定とおりに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
広範な文献研究と並行し、予算スラックが主観的な判断を伴う心理的な現象であることを踏まえ、心理尺度の開発について研究を続けることにしている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のなか、海外出張によるフィールド調査や海外研究協力者との打ち合わせがキャンセルとなったため。次年度にキャッチアップを図る。
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