2023 Fiscal Year Research-status Report
予算スラック測定尺度の開発および尺度の有効性検証に関する研究
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20K02026
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
李 建 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (10298680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 美庚 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30351985)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Big Five / パーソナリティ / 予算スラック / マネジメント・コントロール / 測定尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
予算管理研究においてこれまでBig Fiveの影響を直接取り上げた研究はほとんど見受けられない。パーソナリティの共通尺度として定着してきたBig Fiveは、いまや心理学分野に留まらず他学問分野や現実社会にまで幅広く浸透するようになった。個人のパーソナリティ特性を5つの次元で説明するという網羅性と明快さが普及を後押ししているようである。本研究では、予算管理研究におけるBig Fiveの応用可能性を検討し、検証すべき仮説の導出を試みた。予算スラック研究への1つ目の応用可能性は、Big Fiveを予算参加と予算スラックの関係をモデレートするモデレータ変数とすることで、下位マネジャーのパーソナリティ特性と予算スラックの関係をより体系的に検討することである。予算参加が許容される状況において下位マネジャーの5つのパーソナリティ特性は予算スラックにどのような影響を及ぼすのかという観点から、外向性と予算スラックの正の相関、勤勉性・誠実性と予算スラックの負の相関を暫定仮説として導いた。また、予算スラック研究への2つ目の応用可能性として、Big Fiveを予算スラックへの変換公式の調整要因とすることで、下位マネジャーのパーソナリティ特性が予算スラックの定量化にどのように影響するのかをより体系的に検討することができた。Big Fiveの各次元が予算目標の達成可能性に関する主観的確率に影響を与えることで、結果的に予算目標の達成可能性から予算スラックへの変換公式に調整が加えられると推察される。そこで、外向性と予算目標の達成可能性との正の相関、神経症傾向と予算目標の達成可能性との負の相関を暫定仮説として導くことができた。影響を与える上位マネジャーと影響を受ける下位マネジャーのインタラクションを前提としたよりダイナミックなマネジメント・コントロール研究を目指し、引き続き関連研究を進めることにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心理学の知見を予算スラック研究のフレームワークに取り込むことで、学際的な研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる今年度は、これまでの研究成果の体系化を試みるとともに、予算目標の達成可能性から予算スラックへの変換公式の精緻化を図ることで、予算スラック測定尺度の有効性向上に取り込むことにしている。
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Causes of Carryover |
海外の研究協力者との研究の打ち合わせが予定通りに進まなかった。この夏に研究協力者と研究の打ち合わせと情報共有を行うことを計画している。
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