2021 Fiscal Year Research-status Report
会計基準のグローバリゼーションの現状と展開に関する解釈社会学による分析
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20K02031
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
井上 定子 兵庫県立大学, 社会科学研究科, 教授 (50388857)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 米国FASB / IFRS / グローバリゼーション / 内容分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、IFRSの導入に伴い生じる会計基準のグローバリゼーションにおいて、IFRSへの統一化(グローバル)に向けた動向だけでなく、IFRSからの乖離(ローカル)に向けた動向が観察される。つまり、グローバルとローカルとが混合してグローバリゼーションが進展している。このような複雑化する会計基準のグローバリゼーションの現状と今後の動向を国際社会学の知見を用いた学際的アプローチにより、包括的に解釈することが本研究の目的である。 本研究では、国際社会学におけるグローバリゼーションの概念整理を行い、分析モデルの構築と精緻化を行うことを第一段階とし、IFRS導入をめぐり相反する現象が確認されるEUや米国の取り組みを事例として取りあげ、分析モデルを踏まえて彼らの取り組みについて検討することを第二段階として位置づけている。 本年度は、第二段階として、昨年度の研究成果として示した会計基準のグローバリゼーション分析モデルに基づいて、米国における会計基準のグローバリゼーションの様相を事例として取りあげ検討した。具体的には、2000年から2010年前半にかけて米国FASBが行ってきた会計基準の国際的諸活動に焦点を当て、内容分析を試みた。かかる分析を通じて、当時のFASBの取り組みの背後に想定されている会計基準のグローバリゼーションの指向性、そしてそのグローバル化を推し進めた原動力について検討した。 その結果、当時のFASBの取り組みの背後には、均質化・同質化に向けた会計基準のグローバリゼーションが想定されており、その主な原動力は、システムの合理化であったことを確認した。また、2010年SEC声明を境に、政治的側面の原動力があまり機能していないとともに、総体的に均質化・同質化のグローバル化を進める原動力の低下がみられた。 以上の検討結果は、本年度の研究成果として論文に取り纏め公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の第二段階として、会計基準のグローバリゼーションの分析モデルに基づき、2000年から2010年前半にかけて米国FASBが行ってきた会計基準の国際的諸活動に焦点を当て、内容分析を実施し、当時のFASBの取り組みの背後に想定されている会計基準のグローバリゼーションの指向性、そしてそのグローバル化を推し進めた原動力について検討した。その結果は、論文に取り纏めて公表した。 しかしながら、今年度は、2000年から2010年前半までの米国FASBによる公刊物の分析が主となり分析対象が限定的である点から検討が十分であったとはいえない点、関連する国内外の学会での報告ができなかった点、そして、もう一つの分析対象であるEUに関する資料収集や整理が不十分である点を考慮すれば、順調とはいえず、やや遅れていると判断した。 原因としては、昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症への対応(教育・学務)により、当該科研課題研究へのエフォートを十分に確保することが困難であったこと、内容分析を行う際のデータベース作成に予想以上に時間を費やしたこと、そして関連する海外の学会への出席(情報収集や成果報告)が困難であったことが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の第二段階は、IFRS導入をめぐり相反する現象が観察されるEUや米国のIFRSに対する取組みを事例として取りあげ、第一段階で構築した分析モデルを踏まえて、それらのIFRS導入への取組みがどのように解釈可能であるのかを検討する段階と位置づけられる。今年度は米国FASBのみを取りあげたが、次年度は米国SEC、EUやFESEなどを取りあげ、彼らによる関連公刊物を記述的に捉え、IFRSの受入側の反応を定性的にみるためにテキスト分析を行う予定である。 しかしながら、昨年度に引き続き、テキスト分析を実施する上で必要となる公刊物のデータ化や、データの整理など、テキスト分析のデータベース作成に時間を要した点、そして、新型コロナウィルス感染症への対応(教育・学務)により、当該科研課題研究へのエフォートを十分に確保することが困難であった点、加えて、関連する海外の学会への出席ができず、当初予定していた情報収集および成果報告が困難である点が課題としてあげられる。 対応策としては、次のような研究計画の変更を検討している。まず、分析対象の見直しを行う。具体的には、単なる対象機関の縮小ではなく、期間的な制約、データ化の可否等の制約を考慮して決定する。このような制約と分析対象が限定的となり検討が不十分であったという今年度の課題に鑑み、分析対象とする機関の範囲を拡張することも検討する。次に、国内外学会での情報収集ならびに成果報告を実施するために、新型コロナウィルス感染症の影響を鑑み、研究期間の延長を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、前年度使用予定の旅費250,000円と今年度使用予定の旅費250,000円を全額使用していないことによる。これは、新型コロナウィルス感染症の影響から、予定していた海外の学会へ出席できなかったこと、そして、予定していた国内の学会および研究会がすべてオンライン開催であったことから、旅費等が掛からなかったためである。 使用計画としては、新型コロナウィルス感染症の影響を鑑み、翌年度以降に、国内外の学会等へ出席する際に必要となる、旅費、学会参加費、そして英文校正費用として使用する予定である。加えて、データ処理を行う際に必要となる機器および関連資料等の購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)