2022 Fiscal Year Research-status Report
会計基準のグローバリゼーションの現状と展開に関する解釈社会学による分析
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20K02031
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
井上 定子 兵庫県立大学, 社会科学研究科, 教授 (50388857)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IFRS / グローバリゼーション / 任意適用 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、IFRSの導入に伴い生じる会計基準のグローバリゼーションにおいて、IFRSへの統一化の動向とIFRSからの乖離の動向が観察される。このような複雑化する会計基準のグローバリゼーションの現状と今後の動向を国際社会学の知見を用いた学際的アプローチにより、包括的に解釈することが本研究の目的である。 本研究では、国際社会学の知見を援用し概念整理を行うとともに分析モデルの構築と精緻化を行うことを第一段階として、そしてこの分析モデルを用いて、かかるIFRS導入をめぐる複雑化した現象が観察されるEUや米国などの取り組みについて検討することを第二段階として位置づけている。 本年度は、分析対象の見直しを行い、IFRSへの相反する動向が並列的に観察される日本の会計制度に焦点をあて検討を行った。現在、日本では、連結財務諸表を作成する際に適用することができる会計基準として、日本基準だけでなく、IFRS、米国基準とJMIS(国際修正基準)の4つを選択することができる。これは、第一段階で示した会計基準のグローバリゼーション分析モデルの固有文化化に該当する。 そこで、固有文化化に絞り込み、国際社会学における多文化共生概念を援用して会計基準の共生モデルを構築した。そして、この共生モデルに基づき、日本の会計制度の現状(複数の会計基準が共生している状態)について分析を行い、それぞれ異なる共生の状態(日本基準との共生の関係性)を確認することができた。特に日本におけるIFRS任意適用は、不安定な共生状態にある序列型共生に分類されることが明らかとなった。今後、安定的な共生状態を維持することが期待される限りにおいて、市場別共生(自立型共生)という方向性を選択肢の1つとして示した。 以上の検討結果は、本年度の研究成果として、国内学会にて研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、分析対象の見直しを行い、日本の会計制度を取りあげて検討した。第一段階として展開した会計基準のグローバリゼーションの分析モデルのうち、固有文化化に絞り込み、多文化共生概念を援用して会計基準の共生モデルを新たに構築し、日本の会計制度の現状(複数の会計基準が共生している状態)について分析を行った。その結果は、国内学会にて報告を行った。 しかしながら、日本の会計制度の現状について記述的な分析を行ったが、現在顕在化している課題を含めて共生の可能性を検討することが十分にできなかった点、報告内容を論文として公表することができなかった点、そして、内容分析を行うに当たり関連資料の収集・データ化が不十分であり、内容分析の実施までに至らなかった点を考慮すれば、順調とはいえず、やや遅れていると判断した。 原因としては、分析対象を見直し、日本の会計制度を分析するに当たり、第一段階で提示した分析モデルを基に、新たな会計基準の共生モデルを構築することに時間を要したため、関連資料を収集・データ化し内容分析を実施する時間をもつことが十分にできなかったこと、異なる研究テーマでの共同研究および報告書の作成に予想以上に多くのエフォートを割いてしまったこと、そして新型コロナウィルス感染症の影響により、関連する国内外の学会への出席(情報収集や成果報告)が十分にできなかったことが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の第二段階は、IFRS導入をめぐり相反する現象が観察されるEUや米国などのIFRSに対する取組みを事例として取りあげ、第一段階で構築した分析モデルを踏まえて、それらのIFRS導入への取組みがどのように解釈可能であるのかを検討する段階と位置づけられる。今年度は、分析対象の見直しを行い、とりわけIFRS導入について任意適用という特徴をもつ日本の会計制度を取りあげ、記述的な分析を行った。しかしながら、研究成果を論文として公表できなかったこと、現在顕在化している課題を含めた検討を十分に行うことができなかったこと、それに加えて、関連資料を収集・データ化し内容分析を行うことができなかったこと、が課題としてあげられる。 そこで、次年度が最終年度であることから、まず、研究成果を論文にまとめ公表することに注力する。次に、IFRS任意適用により現在顕在化している課題を整理し、その課題を含めて会計基準の共生モデルを再検討する。そして、それを踏まえて、関連資料の収集・データ化を行うとともに、内容分析を行う予定である。あわせて、可能な限り、国内外学会での情報収集ならびに成果報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、前年度および本年度使用予定であった旅費を使用していないことによる。これは、新型コロナウィルス感染症の影響から、予定していた学会および研究会の多くが、オンライン開催であったことから、旅費等が当初の計画よりもかからなかったことによる。 使用計画としては、まず、学会および研究会へ出席する際に必要となる、旅費、学会参加費、英文校正費用などに用いる予定である。次に、関連資料等の購入およびデータの整理や処理等に必要な機器類の購入などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)