2021 Fiscal Year Research-status Report
内容分析からみた非財務報告書の国際分布と二言語間の比較分析
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20K02045
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
大坪 史治 獨協大学, 経済学部, 准教授 (20555263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 海湘 獨協大学, 経済学部, 非常勤講師 (60626505)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非財務情報 / 統合報告書 / 情報ディスクロージャー / テキストマイニング / IIRC / GRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際的に多様化する非財務情報の開示内容および非財務報告書の形態の分析を通じて、その変遷、トレンド、枠組みなどを理解し、将来予測や企業ごとの位置関係の把握を目的としている。 本年度の研究は、「Global 100」選出企業が公表する過去4年分(2018年から2021年度)の非財務報告書400冊について、テキストマイニング手法を用いて内容分析を行った。分析の目的は、IIRCフレームワークとGRIスタンダードを軸にして、国際的に評価される企業の非財務報告書の特徴を明らかにすることである。持続可能性の観点から評価される企業が国際ディスクロージャースタンダードにどれほどマッチした報告書を開示しているかを示したうえで、年度ごとに非財務報告書の位置を特定し、全体のトレンドや地域性などの特徴を明らかにした。 具体的には、国際的なトレンドはGRIスタンダードおよびIIRCフレームワークから離れ、独自の情報開示を実践している傾向にある。それはつまり、GRIスタンダードおよびIIRCフレームワークの中で用いられる単語は基本的要素であるが、それ以外の多くの情報を非財務報告書の内容に盛り込んでいるのである。あるいは、非財務報告書内の情報を縮小して、様々な手段により情報発信するようになっている可能性を示している。 また、情報開示のグルーバル化が進む中で、国や地域の特徴が存在することを発見したことは新しい知見である。今回は日本企業のみに着目したが、今後は他の国や地域の類似性についても言及したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに外国語のテキスト分析を実施することができ、来年度の研究計画において予定している海外先進企業と日本企業の比較分析を実施するうえでのデータ集積や分析プロセスの構築も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究課題として浮き彫りになった主成分の方向性の明確化について、指標や軸となる特定単語による分析も検討しながら報告書の分類精度を高めていきたい。 また、日本語テキストと外国語テキストの比較分析について複数の分析法の用意があるが、より現実的な方法として、GRIガイドラインなどによって示される一般、環境、労働、経済(あるいは細分化されたカテゴリー)を参考に内容分析を行うカテゴリー分析法を採用して進めていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度は、全ての学会および研究会がオンライン開催になったため旅費の計上がなかったため。
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