R&D, Innovations, and Financial Reporting

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K02049
• Research Institution: Senshu University
• Principal Investigator: 成岡 浩一 専修大学, 商学部, 教授 (90308172)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 研究開発活動 / イノベーション / ディスクロージャー

Outline of Annual Research Achievements

2021年度は、前年度に行った文献調査の結果に基づき、データセットの作成および分析を進めた。第一に、研究開発活動の会計・開示行動についてプロプライエタリ・コストの影響という観点から、仮説を再構築した。第二に、分析に用いるデータセットの作成を進め、作業を完了した。プロプライエタリ・コストに関連する変数としては特許等の知的財産権や、製品市場における技術的競争圧力に関する指標を、会計・開示行動の指標としては会計発生高を用いる尺度や経営者予想を用いる尺度などを構築した。そのほか、両者の関係に影響を及ぼす変数として、株式所有構造やスピルオーバー等の指標を作成した。第三に、構築したデータセットに基づき、予備的な分析を行った。その結果は、技術的競争圧力と会計・開示行動との間に有意な関連があることを示すものであった。また、特許等の知的財産権の多寡が、両者の関係に影響を及ぼすことも示唆している。これらの結果は仮説に整合的であり、現在、さまざまな角度から本格的な分析を進めているところである。具体的には文献調査の結果にもとづき、研究開発集中度、製品開発段階、経営者報酬等の影響についても考慮した分析を行っている。また、知的財産権制度の変化はプロプライエタリ・コストに影響を及ぼす点で重要であり、分析期間内における制度変更を精査しているところである。現在はいくつかの制度変更のタイミングを特定し、会計・開示行動に及ぼす影響について予備的な分析を進めている。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

事前に予定していた仮説構築、データセットの作成は完了することができた。ただ、分析については、予備的分析は行ったものの追加分析等を完了することができなかった。したがって、全体としては当初の計画よりやや遅れているといえる。しかし、広範な文献調査に基づき仮説を再構築したことで、分析の枠組みが当初より広がり、期待される研究成果が拡大したともいえる。現在は、分析を早期に完了させ、論文を執筆することを目指している。

Strategy for Future Research Activity

データセットの作成は完了し、予備的な分析もすでに行っているため、今後は本格的な分析を早期に完了させたい。分析結果は、学会報告や論文として公表していく予定である。授業等の公務や学会事務等の負担は大きいが、効率的に作業を行い、研究成果を公表することを目指す。

Causes of Carryover

仮説の再構築を行ったため、必要となるデータベースを再検討する必要が生じた。すでに、再検討は終了しているため、早い段階でデータベースの購入もしくは謝金として支出する予定である。