2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory research utilyzed content analysis on climate change information disclosure
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20K02051
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田中 優希 法政大学, 経済学部, 教授 (00636178)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気候変動情報開示 / 財務会計 / 資本コスト / コンテンツアナリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、抽出したデータを用いて、各論点(気候変動に関する日本企業の定性的開示の実態を網羅的に調査し、開示内容が資本市場に与える影響、情報ベンダーの実態と課題、開示内容が開示企業自身に与える影響、開示内容が労働市場に与える影響)を検証し、論文執筆を進めた。 このうち成果としては、2021年8月に「日本企業の温室効果ガス削減目標と銀行経営」(全国銀行協会令和2年度金融調査研究会第1研究グループ報告書『気候変動リスクと銀行経営』 107-121 頁)を公表した。同論文では、日本企業全体に影響を与える存在としての銀行や一般企業の温室ガス削減目標を調査し、トービンのq・有利子負債利子率との関係を検証した。結果として、目標設定は企業に大きな経済的効果をもたらしておらず、現状の目標設定の課題を明らかにした。 また、日本会計研究学会スタディ・グループ「AI技術の活用によるESG情報の評価に関する研究」の中間報告書において、「ESG 評価とサンプルセレクションバイアス」(名古屋市立大学奥田真也教授との共著)を発表した。同論文では、本研究課題の関連文献のレビューと、本研究課題と同様のコンテンツアナリシスにAIを用いた場合の学術的意義の議論を行った。企業の開示内容そのものをAIに学習させることによって、情報ベンダーがESGスコアを付けていない企業にも仮想的にスコアを付与することができる。結果としてESG評価が広く利用可能となった場合、既存研究が抱えてきたセレクションバイアスを回避できる可能性についてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各論点のうち一部については成果に結びついたが、多くは検証中あるいはデータ整理の段階にあるため。遅れの主な原因は、研究代表者のプログラミング技術の習得とそれを用いたデータ集約に時間がかかっていることである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き各論点の検証と成果作成に努める。 2022年度は在外研究(フランス)を予定しており、ESG投資に関心の高い当地での情報収集も予定しているが、研究環境の変化も予想される。研究の推進において障害となる事象がある場合は適切に対処していく。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた支出のうち、学会出張旅費はコロナ禍でオンライン開催が増えたため不要となった。謝金についてはデータ収集に用いる予定だったが、工程に遅れがあるため使用に至らなかった。本年度はデータ収集と統計ソフトウェアの購入、ならびに国際学会の参加費用として使用予定である。
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Research Products
(3 results)