2021 Fiscal Year Research-status Report
ディスクロージャー制度改革の有効性に関する調査: テキスト分析に基づく実証分析
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20K02052
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中野 貴之 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70287952)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ディスクロージャー制度 / 記述情報 / テキスト分析 / 経営者による経営成績等の分析(MD&A) / リスク情報 / セグメント情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究実績は、以下の三点である。 第一に有価証券報告書の記述情報に関する研究成果を公表した。有価証券報告書の記述情報、すなわち「第2【事業の状況】に含まれる、①「経営方針・経営戦略等」、②「経営成績等の分析」および③「リスク情報」の「情報更新度」をコサイン類似度を用いて定量化し、その推移を分析した。その結果、同記述情報の制度改定前期間(2007年~2016年)においては情報更新度は低下し続け、ボイラープレート化の進展を裏づける傾向が観察された。一方、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの提言により、2017年以降、複数回制度改定が行われているが、同改定時点において情報更新度は更新しており、同改定は一定の効果を伴っていることを確認した。 第二に、SNS(ツイッター)によるディスクロージャーについて研究を進めた。一定の上場企業が決算短信の発表等についてツイートを行っていることを確認した。ただし、その全貌を捉える水準にまでは至っていないとともに、収集した大量のツイートのデータを活用しきれてはないので、引き続き分析を進めている。 第三に、連結財務諸表の注記の「セグメント情報」に関するテキスト分析の成果を公表した。セグメンテーションに関するテキストを収集し、マネジメント・アプローチ導入前・後の期間を対比し分析を行った結果、同アプローチ導入の影響は事前に予想されていたよりも限定的であること、また、同アプローチ導入後、内部管理上の区分・組織再編の名の下に、報告セグメントを集約する行動がやや際立っていることを確認した。かかる証拠は、数値ではなく、テキストの分析を行うことによって明らかにできたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テキストデータのデータベース化が当初の予想よりも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
テキストデータのデータベース化および利用についてより合理的な方法を探る。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により出張が皆無であったこと、供給不足によりパソコンを購入できなかったことが次年度使用額が生じた主因である。次年度、パソコンを購入するとともに、データベースの費用に充当する。
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Research Products
(5 results)