2021 Fiscal Year Research-status Report
日本の未実現核燃料サイクル施設立地計画と地域抵抗運動成功例についての実証研究
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20K02065
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
樫本 喜一 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (10598965)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 原子力政策 / 核燃料サイクル政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスによる各種制限下ではあるが、この機会に文献調査などの出張を伴わない研究を集中して行った。文献を新たに入手して精読し、そこから少しでも関連すると思われる文献などを芋づる式に調査する手法を取った。また、出張に充当すべき研究時間を振り替えて以前の研究で収集した文献資料などを再度見直すことにより、今回、新たな視点で思わぬ発見があった。現在のような各種制限下ならではの研究ともいえる。 当該年度の研究成果は、上記の方法で研究した結果生まれたものである。内容は核燃料サイクル関連施設の立地の前提となる、あるいは政策的に密接し核燃料サイクルと表裏の関係にある原子力発電政策につき、その中でも現在の主力原子炉システムである軽水炉の国内開発の政策的な背景を明らかにした。日本が核燃料サイクル政策を推進する上で前提条件となるのが軽水炉システムの利用拡大である。現時点の先行研究ではほとんど明らかになっていなかった日本の軽水炉改良標準化計画の背景と、この計画の結実ともいえる改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)に至る流れを解明した。 今回の研究成果は、日本の技術開発史の中でも特筆すべき出来事について、それが内包する問題点を含めて明らかにしたことである。なお、この成果は速報的に論考にまとめて発表した。「軽水炉の一世紀 軽水炉システムからみた日本の原子力政策史」『現代生命哲学研究』第11号 (2022年3月):97-122。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスによる各種制限などにより、国内出張がほとんどできなかった。現地調査など研究に必要なことが一部実施困難であったため、進捗状況に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症対策に関する社会的な状況を注視しつつ、可能な限り研究計画の効率を上げて、出張調査などの遅れを挽回するように努める。
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Causes of Carryover |
前年度と同様、新型コロナウイルス感染防止に関係した社会的制限が今年度も続いていたため、出張を伴う現地調査などが実施できず、旅費関連の出費がほとんどなかったので次年度使用額が発生した。 次年度は状況を注視しつつ、可能な範囲で遅れが生じている出張を伴う調査活動を効率的に実施する予定である。
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Research Products
(2 results)