2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on relationships between the SDGs and the Social and Solidarity Economy
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20K02076
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
柳沢 敏勝 明治大学, 商学部, 専任教授 (30139456)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的連帯経済 / 社会的経済 / 連帯経済 / 社会的企業 / 社会的協同組合 / 協同組合 / 労働者協同組合 / ソーシャル・キャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
今日の世界の共通のテーマとなっているのがSDGs(持続可能な開発目標)である。このSDGsの担い手に関する文献的、実証的研究を進めることが本研究のテーマである。わが国では、SDGs推進本部に典型的にみられるように、SDGsがビジネスチャンスであるとの認識が広がっているかのように思える。しかしながら、国連の中に設置されている社会的連帯経済タスクフォース(UNTFSSE)に代表される国際機関、あるいは国際公共経済学会(CIRIEC)や社会的経済国際フォーラム(Gsef)などの国際的な会議体での議論を見るかぎり、SDGsをビジネスチャンスと受け止めるあり方は異様である。これらの会議体ではSDGsの主たる担い手が社会的連帯経済であるとする議論が一般的である。 だが、わが国では、社会的連帯経済に関する社会的認知度はきわめて低い。したがって、SDGsとその担い手に関する国際社会での議論と相当程度のズレが生じていると言って大過ない。本研究では、SDGsの主たる担い手と想定されている社会的連帯経済に関する世界の議論を摂取し検討することを第1の課題とし、社会的連帯経済の実際について実態分析することを第2の課題としている。 だが、昨年初め以降の新型コロナウィルスの蔓延により、研究活動にも大きな影響が出ている。一つはオンライン授業への対応である。遠隔授業の準備と実施に労力と時間が割かれ、国際的な議論の摂取および動向の把握に大きな影響が出た。他方、本研究のもう一つの課題である実態調査ができずにいる。国内移動の制限と海外渡航の禁止により、調査の実施に影響が出た。とくに韓国での実態調査ができず、本年度の研究課題に着手することができずにいる。また、2020年10月にメキシコシティで開催が予定されていたGsefが延期となり、参加による動向の把握に支障が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ・ウィルスの蔓延に伴う遠隔授業の準備ならびに実施に多くの時間と労力とが割かれ、本研究における文献研究に大きな影響が及び、国際的な論議の動向把握に遅れが出ている。 また、コロナ禍の下での国内での移動制限や海外への渡航制限により、本研究の2つ目の目的である社会的連帯経済の担い手に関する調査の実施ができず、実態分析に遅れが生まれた。とくに、主目的のひとつである韓国での実態調査、ヒアリング調査を実施することがかなわず、研究目的の達成に大きな支障が生じている。 これらの問題を克服するうえためには、とくに海外への渡航制限が解除されるまでの間、次年度以降、とくに文献研究に注力する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、2020年度に対応せざるを得なかったオンライン授業の実施負担が大幅に軽減されることになるため、海外への渡航制限が解除されるまでは、国連社会的連帯経済タスクフォースでの情報交換を中心として社会的連帯経済に関する議論に接し、議論の動向を把握することに努める。なお、海外への渡航制限が解除されることを前提として、国外での実態調査、とくにアジアの中にあって社会的連帯経済に関する社会制度の整備が進んでいる韓国での「SDGs担い手」に対するヒアリングを中心とした調査を実施する。 また、2021年12月に予定されている国際協同組合同盟(ICA)ソウル大会に出席し、協同組合陣営で交わされる社会的連帯経済、SDGsに関する議論の摂取に努める。なお、メキシコシティーで今秋にGsef会議が実施されるなら、その会議への参加を通して議論の摂取に努める予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウィルスの蔓延に伴うオンライン授業の実施に伴い、授業の準備と実施に多くの労力と時間とが割かれ、本研究実施の余裕がほとんどなく、とくに文献研究による国際的な議論の摂取に大きな影響が出た。他方、コロナウィルスの世界的な拡大により海外渡航に大幅な制限が加わり、本研究の課題のひとつである韓国での実態調査が実施できず、調査に伴う予算の執行ができなかった。 以上の理由により、2020年度実施予定であった研究のほとんどを実施できず、予算の執行にも大きな影響が出ることとなり、執行予定の経費の多くを次年度に繰り越さざるを得なかった。
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