2021 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期日本の「軍事化」の再検討:1950-70年代の北海道を中心に
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20K02080
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
松田 ヒロ子 神戸学院大学, 現代社会学部, 教授 (90708489)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自衛隊民生活動 / 軍事化 / 地方自治体 / 冷戦期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は1950年代から1970年代を中心とした冷戦期日本の「軍事化」のプロセスを明らかにし、戦後日本の平和国家のアイデンティティを批判的に検証するとともに、冷戦が人びとの生活にとってどのような意味を持っていたのか考察することである。 2021年度は、前年度に引き続き新型コロナウィルスの蔓延により、当初計画していた通りに調査を進めることが難しかった。本研究は、当初の計画では主に北海道で調査を実施する予定だったが、感染者数が高止まりを続けていた北海道を訪ねることじたい躊躇われた。特にインタビュー調査の実施は慎重にならざるを得なかった。 そこで、蔓延防止措置などの制限や文書館の開館状況などをみつつ、全国各地の公文書館に所蔵してある関係資料の閲覧と撮影(複写)に力を注いだ。北海道、秋田、群馬、東京、静岡、愛知、鳥取、広島、山口、福岡各都道県の文書館を訪ねて、地方自治体の自衛隊員募集や被災地域支援活動をめぐる自衛隊との連携などに関する公文書を閲覧し、撮影した。また国立公文書館においては、自衛隊による被災地域の支援活動に関する資料を閲覧、複写した。 インタビュー調査はあまり実施できなかったものの、感染者数が減少傾向にあった11月には、PCR検査で陰性の結果が出たことを受けて、北海道の自衛隊協力会の活動に関して関係者に聞き取りを実施した。またいわゆる自衛隊のOB会的な位置づけである隊友会の北海道真駒内支部が開催した警察予備隊出身者の会に参加し、参加者からお話を聞くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りにインタビュー調査は実施できなかったものの、代わりに公文書館における資料調査を計画以上に進めることができたので、総合的には順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ新型コロナウィルスの感染状況や社会動向など予断をゆるさない状況が続いているため、当初の計画よりも資料調査に重点をおくことによって研究目的を達成させたいと考える。今年度はこれまでに収集した文書資料を読み込みながら、必要に応じて、また社会状況をみながらインタビュー調査も実施する。これまでに収集したデータをもとに論文の執筆も開始する。
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Causes of Carryover |
前年度、新型コロナウィルスの蔓延により調査が計画通りに進まず、50万円以上の未使用金が今年度に繰り越された。今年度、前年度の繰越金を使うことができなかったのでそれをそのまま次年度に繰り越すこととなった。海外への渡航が自由になった際には国際学会への参加などの経費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)