2022 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Study on Politics of Deinstitutionalization and Families of Persons with Disabilities
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20K02084
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 涼子 金沢大学, 人間科学系, 教授 (80262541)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 障害者 / 脱施設 / 家族 / 地域社会 / アドボカシー / 排除 / 孤立 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の障害者政策の形成過程における家族の位置づけの変遷と入所型施設の建設推進との関係、近年の脱施設化政策における地域福祉重視の実態と家族によるインフォーマルケアへの依存について検討し、インフォーマルなケアラーとしての家族への政策的依存が、障害当事者とともに家族をも地域社会から孤立させることを明らかにした、また家族ケアラーの生活者としての権利擁護の必要性について、近年、日本でも注目されているケアの倫理に関する議論との関連から検討した。こうした知見を、「Exclusion from the family and the community:the challenges of deinstitutionalization in Japan」(The 10th Annual Conference of European Society for Disability Research、University Saint-Louis - Brussels(online報告)、2022/07/07)、「ケアの脱家族化は可能か?-障害者政策の中の家族-」(第95回日本社会学会大会、追手門学院大学、2022/11/12)として学会報告するとともに、当事者主権やアドボカシーに関して蓄積してきた知見を、「私が出会った2つの言葉~ "The personal is political" と"Nothing about us without us" ~」(金沢大学ダイバーシティ研究環境推進シンポジウム(はあざみ女性研究者賞受賞式、金沢大学、2022/12/23)として講演した。また2022年3月に参加した障害者政策に関する日仏共同セミナーに関する『ALTER』(European Society for Disability Research学会誌)特集号に向けた原稿執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ状況等により、各国比較のための実地調査を行えなかったため、特に障害者政策の中でも脱施設化の進展における海外の障害当事者団体および家族団体の関与の実態、両者の関係性や主張に関して、十分なデータを得ることができなかった。比較研究という点では当初の計画より遅れているが、日本の障害者政策における障害当事者団体と家族団体の関係性に関する資料収集や検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査を実施し、脱施設化の進展における障害当事者団体および家族団体の関与の実態、および両者の関係性やそれぞれの主張に関して、十分なデータを得る。また、障害のある人以外のケアを必要とする人の家族団体(高齢者介護家族団体など)についても調査し、インフォーマルケアラーの権利擁護の活動と政策参加、障害者家族団体との関係性や連携について資料収集を行う。それらと、2022年度に蓄積した日本に関するデータや検討を基に、比較研究を進める。
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Causes of Carryover |
引き続き新型コロナの状況により予定していた海外調査が実施できず、また事情により国際学会への対面参加が難しくなりオンラインでの発表に切り替えたことで、海外旅費支出がなかった。新型コロナ状況の改善をふまえて海外調査を実施するとともに、情報収集のための自動翻訳ソフト更新を行う等の使用を計画している。
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