2021 Fiscal Year Research-status Report
法医剖検情報を用いた認知症高齢者の屋外死亡事例の特徴とその予防策についての研究
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20K02086
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
三浦 雅布 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (80616235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 香 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40599784)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 法医解剖 / 外因死 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症患者の外因死事例について、岡山大学で2008年から2017年までの10年間に法医解剖された全2147例について、剖検に際して警察と医療機関から得られた情報を基に、認知症と思われ、なおかつ死因が病死ではなかった事例129例を抽出し本研究対象とした。これらについて各事例の死因・死因の種類・年齢・性別・独居/非独居の別・死後の経過時間・死亡から発見までの時間・死亡場所などを剖検記録を基に調査した。この結果について解析を行うことで、認知症患者の外因死としては焼死や溺死が多いことや、非独居者が全体の71%を占め、外因死は同居人がいるにもかかわらず起こりうるものであること、溺死事例はその大多数が屋外であり徘徊行動がその原因として疑われること、屋外での死亡事例もその多くは自宅直近での死亡であることなどが明らかとなった。これらの研究成果については、2021年10月に、オンデマンドで開催された第105次日本法医学会学術全国集会において発表を行った。 その後、これと同じ事例について、さらに病歴や介護認定の有無、介護者の有無や介護者と死者との関係性など、認知症外因死例の社会的背景を明らかにするための項目についても改めて調査を行い、データの追加とその解析を行った。その結果、介護認定を受けていたものとそうでないものとはほぼ同じ割合であり、それぞれについての死因の傾向などにも差が見られないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際学会での発表も考慮していたが、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大を受け、法医学系の国際学会に参加できず、これを行うことができていない。 解剖事例についての調査は概ね完了したと考えているが、検死のみで終了し解剖されていない事例について調査は、検死記録に情報が残っていないものも多く、当初予定より難航している状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
検死事例については、現状の後ろ向き調査では全体像の把握が難しいと考えられ、今後も研究対象とするか検討する必要がある。解剖事例について行った調査結果は国際的な学術集会で発表したいと考えている。また論文化については、和文執筆が適当と考えれる内容のため、これを準備する予定である。
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